第7話 白紙

「どうしました?」 ……と俺が聴くと


「はっ。 閣下は以前『人類が自分のせいで滅亡してしまうなら、コイビトなど要らない』と申されたが、今でもそのお気持ちに変わりは無いか?」


 当たり前だ。たとえ死んでも、その気持ちは永遠に変わらない


 俺はキッパリ「変わりありません」……と答えた。


「では『そよかぜtender  breeze』の出撃はおめになるが良かろう」


 ユイが俺より先に「何故なにゆえ?」と聴き返した。


「『気圧』や『風力』を、我が戦力でせたる場合、閣下らの生存圏は、今後240年と3ヶ月、全ての生命体が死に絶える」


「そうか……気象……自然現象を変更するには、それなりの悪影響リスクがある……と言う事か……。 あに如何いかがいたす?」


 如何いかがいたす? ……じゃねぇよ! 却下だ! 却下! この人類の敵enemy of humanめ!!


「これで振出し……か……」 ……と、俺とユイが同時に溜息ためいきをついた。


 ……ユイ、気を付けろ。 幸せが逃げるぞ。


 ……しばしの沈黙のあと「……ところで、何故なにゆえに台風が来ると、『ナツマツリ』が中止になるのだ?」


「……」……聞こえなかったりをしようとしたが、『スリーパーホールド』というわざを習得したユイが怖いので


「強い雨風で着衣は濡れるし、転ぶかも知れない。また、縁日の露店が飛ばされるかも知れないから商売にならない。だから、台風が上陸する事がわかったら、安全な日に延期したり、中止したりするんだ」……と、説明した。


 「そうか。 暫時ざんじ待て!」


 ……ユイが……消えた……??

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