第3話 長瀬二等、奮闘ス

 俺は長瀬に、アティロムの鷹音ようおんさんに好意がある事を打ち明け、また、七夕を教えてくれた事に感謝の気持を伝えた。


 長瀬はとても喜び、全面的な協力を約束してくれた。 ここに、新たなる『衛鬼兵団えいきへいだん』と『傭兵』の『混成部隊』が誕生したのである。 ……なお、この軍事同盟締結には、ユイの口添えと、今後もユイがサバゲーに協力する…という交換条件があった事も忘れてはならない。


 ただし、当たり前だが衛鬼兵団えいきへいだんの存在は隠匿いんとくしたままだ。


 我が『混成部隊』は、俺、長瀬、長瀬の彼女、そして『人の皮を被ったえいき』のユイ……以上4名だ。


 ……手駒として足りるか足りないか……こればかりは、これからの作戦次第だろう。




 前回の七夕が『第一次鷹音ようおん野華ひろか攻略作戦』だったので、次が『第二次』となる。 この『第二次鷹音ようおん野華ひろか攻略作戦』の作戦会議が、俺のアパートで開かれた。


 この会議で、俺は長瀬の彼女、青木七菜ななさんと初めて会った。青木さんは長瀬をそのまま女性にしたような、人の良さがにじみ出ている人だ。


 青木さんは、サバゲーには全く興味が無いそうなので、ユイのような一風いっぷう変わっている……どころか『台風』ほど変わっているとやっていけるか心配だったが、それは杞憂きゆうだった。 青木さんが利口者りこうもんなので、ユイを上手に扱っている。 長瀬分隊、恐るべし!


 ネットやチラシで情報を収集する。


 区報を見ていた長瀬が「こんなのはいかがです?」 ……と言って、記事を見せてくれた。


『守屋神社 夏祭り開催のお知らせ』


 ……守屋神社なら、アティロムからも近いし、これ、良いかも!


「長瀬二等、でかした。 褒美として『上等兵』に昇格だ!」 ……とユイが言うと、長瀬がかしこまって「ははっ、つつしんでお受け致します。」 ……横では、青木さんがハンカチを目に当て、嬉し泣きの真似をしている。 こいつら、何時いつでも楽しそうだな。


 ……開催は再来週の連休だ。 まだまだ余裕がある。 今日は前祝いだ! 俺と長瀬は缶チューハイ、青木さんとユイはアイスミルクティーで乾杯した。

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