第2話 検索

 俺を上目遣いで見つめる鷹音ようおんさんの、はにかんだ顔が、あまりにも可愛過ぎて思わず目を反らした。 ……彼女はクスッと笑い、視線を笹の葉に向けた。


 他愛もない話をしながら、笹の葉の隙間を探していたが、鷹音ようおんさんが、唐突にサッ……と移動したかと思うと、一枚の短冊をさり気なく手で隠した。


「あ、見つけましたか?」


「あ、いえ、これは……」明らかに動揺している。 彼女の色白の頬と耳が、ほんのりと紅く染まって実に可憐だ。


「あ〜、鷹音ようおんさん! さっき俺の短冊見たんですから、見せて下さ〜い!」……ちょっと、強引な感じもアピールしておこう。


「これは、本当に、違うんです」……と言って、笹の葉のうしろに隠してしまった。


 目標ターゲット座標ロケート記憶セーブ完了コンプリート。 後程のちほど確認に向う。


 ……空きが無いですね……等と言いながら鷹音ようおんさんを見ると、本当に一生懸命に俺の短冊を結ぶ隙間を探してくれている。


 ……そんな彼女の目を盗み、先ほどの目標ターゲット座標ロケートに戻って、チラ見した。 そこには……


野華ひろかさんみたいに、綺麗になれますように』……とあった。 なんだ、こっちかあ。


 自分から隠すなんて、なんて奥ゆかしさだ! 益々ますます好きになった。


 短冊を彼女が隠した状態に戻し、何食わぬ顔で彼女の側に戻った。

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