第2話 『永久《えいきゅう》』

 休日の昼間はそれなりに人通りが多い。 


 こいつは、傍目はためには美少女に見えるので、せめて目立たないように、無言で歩く。


 ……公園の前を過ぎ、いつものコンビニに入った。


 ユイは脇目も振らず、おにぎりの陳列棚に向った。 俺は弁当の棚を見る。最近のコンビニは専門店並みに美味い食品を売っているから、眺めるだけでも面白い。


 ……今までは一人っきりの買い物だったが、人類以外の生物とは言え、誰かと一緒にコンビニに来るのは、やはり楽しい。


 ……そんな事を考えていると


たいらさん!」……と、声をかけられた。


 振り向くと、会社の同僚で後輩の長瀬ながせが、背広を着て立っていた。


「あれ? 出社?」


 ……クレーム処理で呼び出され、その帰りだそうだ。 手にはペットボトルの飲料を持っている。


「お疲れ〜、おごるよ」長瀬からペットボトルを受け取り、近くにあった洋食弁当を手にしてカウンターに向かった。


 待ち兼ねて、足を駄々っ子のようにバタバタさせているユイから、おにぎりを受け取って会計を済ませ、コンビニを後にする。


 ユイは歩きながら、見ているこっちが嬉しくなるような笑顔でおにぎりを頬張った。


 その顔に見とれて、俺が差し出したペットボトルにも気付かない長瀬が「このは?」と俺に聴いた。


「こいつは、衛鬼兵団えいきへいだんの……」……と言いかけ……


「えいき…永久えいきゅうに、俺の妹だ」


「……そ、そうですよね、妹さんは、まあ、永久えいきゅうに妹さんですよね」と言いながら、ペットボトルを受け取った。目はユイにロックオンされたままだ。


 その視線を感じたのか、ユイが長瀬を睨みながら「何奴なにやつ? ……所属と階級を申せ……」


 やばっ……始まっちゃった!

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