『上海ハニー:体操ザムライ OP』 クイズ、ソラシドン! 前編

 はやせたちは本日、長戸高校の文化祭に参加している。


「見て。おみやげこんなにたくさん」


 リンは文化祭で、おやつを大量に買い込んでいた。


「母校では回りきれなかったもんなぁ」


 行事が多すぎて、買ってきてもらうばかりだったっけ。


「さて、番組研が『音楽クイズ』をするそうだよ」

「やりたい!」


 おやつを平らげて、番組研究部の部室へ戻る。


「さあ始まりました、『クイズ、ソラシドン!』。よろしくお願いします」


 福原くんが、タイトルコールをした。


 回答者は、はやせ、リン、優歌先輩・唱子先輩である。


「ある質問をして、まったく別の答えを出してください。それで、津田 嘉穂さんと回答が被ってはいけません。では回答者の津田選手、意気込みを!」


「芸能音楽はまったく得意ではなかったんですけど、勉強してきました。よろしくおねがいしまぁす」


 フニャアという擬音が聞こえてきそうなユルさで、嘉穂さんがあいさつをした。


「では参ります!」


『問題:カバー曲のアニメソングといえば? OP、ED、どちらでも構いません』


 きれいな声で、来住さんが問題を読み上げる。


 はやせとリンは相談の結果、『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド』のOP『フレンズ』を選択した。


「どうして、そう思われましたか?」


 福原くんが、はやせに尋ねる。


「おそらくですが、カバーされていることを知らない、と思いました」


「なるほど。では、高山、大島ペア……オープン!」


 唱子先輩と、優歌先輩は、『あなたの心に』と上げた。


「どうしてそう思われましたか?」と、福原くん。


「さすがに、『アベノ橋魔法☆商店街』は知らないと思いまして」


 唱子先輩が、余裕の笑みを浮かべた。


 

 しかし!



「あ、すいません。それ、ロンです」




 なんと、嘉穂さんが書いたのは『あなたの心に』だった……。

 

「あーっ!」と、聞いたこともないような絶叫を、唱子先輩が上げる。


「どうしてですの!? あんなドマイナーアニメの存在をご存知だなんて!」


「すいません。知識としては知っていたんです」


 ちなみに、『フレンズ』とどっちにしようか迷ったという。


 完敗だ。相手の思考まで分析して、答えを導き出すとは。


「さすがクイズ王ですわ!」


 唱子先輩が、嘉穂さんを絶賛した。


「相手にとって、不足はない!」


 唯一、リンは燃え上がっている。


「では次の問題! 地名が入ったアニメソングといえば?」


 リンは迷わず、『体操ザムライ』のOP『上海ハニー』を。


 優歌先輩が『天体戦士サンレッド』の『溝ノ口太陽族』と回答する。


「あ、優歌さん、それロンです」

「なんでえええええええ!?」


 優歌先輩さえ撃沈してしまうとは!


 はたして、アニソン愛は知識に勝てるのか!?



――つづく。

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