『LOVER SOUL:天使の3P! BD特典』 イントロで勝てなくてもいいんだよ

「さて、クイス番組研究部とマイナーアニソン友の会による、音楽問題を開催致します!」


 司会ははやせ、アシスタントは優歌先輩だ。


 回答者は番組研から来住きすみ先輩、こちらはリンと唱子先輩である。


 クイズを作る際、はやせたちは、事前に番組研と相談していた。


「イントロで勝てなくてもいいんだよ」


 自分たちでもイントロ王「来住やなせ」先輩に勝てないか?

 ずっと考えていたが、番組研部長の福原くんの答えは意外なもので。


「知識だけじゃどうしてもかなわないよ。もっと違う方法で戦ってみようよ」


 案の定、前半のイントロ問題は来住先輩の圧勝だった。


 しかし、福原くんの言う通りに「イントロクイズ以外の音楽問題」を提供してみたのである。


 その立役者が、軽音部ギタリストの亜美先輩というわけだ。


「今からあたしが演奏する中に、他の曲が混じっているから。それを当ててみて!」


 部室にギターをつなげ、演奏をしてもらう。


「~♪」


 これは『東京リベンジャーズ』OPの『Cry Baby』だ。そこに、別の曲が交じる。


『ポーン!』


 早いっ。やはりここでも来住先輩が来た。


「……『僕はこの瞳で嘘をつく』?」

「違いまーす!」


 なんと、来住先輩に初めて土がついた。


 次に、唱子先輩がボタンを押す。


「て、『天使の3P!』の『LOVER SOUL』ですか?」


「正解!」


 すごい。初めて来住先輩に勝ったかも。


 一問だけとはいえ、どうにかマイナーアニソン友の会の面目は守った。


「いい問題だったね!」

「最近やってる音楽クイズ問題から、ネタを引っ張ってきたんだよ」


 はやせと福原くんが話していると、亜美先輩が割って入ってくる。


「あたしも、あの番組好き! キングが好き!」

「キングはね。好きですよね」

「うん。これぞアニソン歌手ってイメージ!」


 亜美先輩が、ギターでキングの名曲をカバーした。


 最後の問題は、サビの途中で音を消して、正確なリズムで歌う問題である。


 なんと、このゲームでリンが一発逆転をした。一〇〇%完璧に、リズムを取ったのである。


「ば、ばかな。私が音楽問題で負けるなんて」


 来住先輩が机に突っ伏した。ちなみに、彼女もすさまじく、〇.〇一秒差である。


 勝負は来住先輩の圧勝だったが、こちらも強さを見せつけた形に。


「見事だったわ。負けたのは、私の慢心よ」

「来住先輩が強かったから、わたしも本気以上の本気を出せた」


 驚くべきは、リンのポテンシャルである。


「今日はありがとう福原くん。次は長戸高校にお邪魔するから」

「ぜひ遊びに来てよ、詩道さ……くん」


 福原くんはまだ、はやせを女子と思っていたらしい。

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