『ルパン音頭:ルパン三世 ルパンVS複製人間 主題歌』 ボーカロイド版ですわね
「よし、晴れたな!」
何もできなかった二日目とは打って変わって、三日目は台風一過で快晴に。
はやせ宅にて行われたプチ合宿も、今日で最終日だ。明日はみんな帰る。
夏祭りが中止にならず、本当によかった。
みんな、浴衣姿になって楽しみにしている。
「といっても、規模が小さすぎて屋台もあんまり出てないぞ?」
限界集落なので。
「いい。雰囲気が大事」
焼きそばを食べながら、リンは楽しそうにしている。
そういってもらえると、うれしい。本当に、焼きそばの屋台くらいしかないのに。
神社に行くと、盆踊りが始まっている。
「懐かしい。ルパン音頭だ」
櫓から流れてくるメロディに、優歌先輩が食いついた。
「チョイスが古めですけど」
「まさか。これ、ボーカロイド版ですわね」
「三波春夫のですか?」
「ええ。ハルオロイド・ミナミというそうですわ」
三波春夫の歌声を現代に蘇らせるため、開発されたらしい。まさに複製人間と言える。
古いのか新しいのか、田舎特有の謎チョイスだ。
集会場では、自治会が小学生の子どもたちにアイスを配っていた。
なぜか、リンもラムネ味の棒アイスをもらっている。二股になっていて、二人で食べるようだ。
「よかったなぁリン」
「複雑な気分だけど、まあいい」
リンは、アイスを割る。「はい」と、はやせに渡してくれた。
「これで、はやせも小学生」
「あはは。ありがとうなリン」
「むふぅ」と、リンは鼻を鳴らす。
ラムネ味を頬張りながら、はやせは童心に帰った。
子ども向けの音楽な鳴り止み、昔ながらの伝統音頭に変わったあたりで、家へ帰る。
帰ると、「風呂が沸いている」と呼ばれた。
「はやせのお風呂、おっきくて好き」
「ああ、祖父が『風呂だけはでかくしたい』って聞かなかったんだ」
おかげで、家の面積は大半が「露天風呂」に支配されている。
「今日はお先にどうぞ、はやせさん」
唱子先輩が、先に風呂へ入るようすすめてきた。
「お客さんより早く、ですか?」
男子の後では、入りづらくないか?
「いつも後からだったもん。今日はいいよ」
「それに女子には、色々と準備がこざいますの。たとえば、日焼け跡のケアとか」
なるほど。そこまでいわれては、仕方がない。
「では、お言葉に甘えて」
はやせは、一番風呂をもらう。
「ふー。この風呂も、今日で最後か」
岩でできた縁に腕を置きながら、はやせはため息をつく。
明日は、朝早くに帰る。
今年ほど、思い出に残る夏休みはない。
素敵な先輩や同級生に囲まれて、最高だ。
「ウフフ。なので、こういったサプライズをご用意いたしました」
「え、先輩!? リンまで!?」
バスタオル一枚の唱子先輩たちが、湯船に入ってきた。
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