『明日への扉:あさがおと加瀬さん。 主題歌』 EDが無音なんだけど?
二日目は台風が来たので、外に出られない。
マイナーアニソン友の会は、思い出したように宿題をすることになった。
テキストは、ここへ来るまでに全部終えてある。さすが、優等生に見張られていてはサボれない。
あとは、自由研究を残すのみだ。
はやせは読書感想文を、リンは習字を選択。
「優歌先輩。なんですか、それ?」
「自由研究は、ハーバリウムを作ることにしたんだよ」
唱子先輩と優歌先輩は、なにやら貝殻やひまわりを瓶に詰めている。
「優歌さんはひまわりを。わたくしは、あさがおにしましたわ」
『あさがおと加瀬さん。』の主題歌である『明日への扉』を歌いながら、唱子先輩はドライフラワーのあさがおを瓶に添えた。
輪切りにしたレモンを、優歌先輩はひまわりに見立てている。
種やビー玉などを入れて、二人の作品はよりカラフルになっていた。
「ワタシもそれにすればよかった」
うらやましそうに、リンが二人の様子を眺めている。
「お高いですわよ?」
長時間保たせるための専用オイルが高価で、人数分揃えられなかったらしい。
「じゃあ、いい」
あっさりと引き下がり、リンは習字に視線を戻す。
昨日の夕飯がヘビーなバーベキューだっただけに、昼食は軽めにそうめんとなった。
「ごめんなさいね。台風じゃなかったら、流しそうめんの竹も用意していたんだけれど」
はやせの母親が、唱子先輩たちにわびる。
「いえいえ。ありがたいおもてなしですわ」
「そう? ありがと」
マイナーアニソン研が、総出で用意を手伝った。
「流れていないそうめんも、最高」
「うん。時々たまらなく食いたくなるよなぁ」
隣り合いながら、はやせはリンと取り合うかのように麺をすする。
「お昼からどうしよっか?」
「ちょうどいいですわ『あさがおと加瀬さん。』を見ましょう」
この家は、ケーブルテレビでネットを引いているから、環境はバッチリだ。
「無線LANもありますわね。では、スタート」
数話に分かれて、物語が展開する。
「ねえ、第一話終わったじゃん」
優歌先輩の問いかけに、唱子先輩が「はい」と答えた。何を聞かれるかわかっているかのように。
「EDが無音なんだけど?」
「これはおそらく、劇場仕様だからでは?」
ちゃんと、完結パートでは主題歌が流れた。
「ああ、なるほど」
投稿サイトで分割された状態で見ると、こうなってしまうらしい。
リンは窓を見ながら、風で折れそうになっているひまわりをずっと気にしていた。
「大丈夫だから、リン」
「田んぼの様子を見に行く農家の気持ちがわかった」
「それは、わかっちゃダメなやつな」
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