『AM11:00 : からかい上手の高木さん ED』 まさかの三期ですね
結局、その日は海には入らなかった。エアホッケーをすることに。
「そういえば、『高木さん』が、まさかの三期でしたね。優歌先、輩ッ!」
エアホッケーをしながら、優歌先輩のスキを伺う。
「だよね! カバーソングがはかどるー、ねっ!」
絶妙な角度を、先輩は狙ってきた。
しかし、天然攻撃のリンが阻んでくれる。
「あー、またリンちゃんにポイントを取られたかー」
「完全にからかわれていますわ。でも、いい汗をかきました」
こんな夏休みでいいのだろうかと思いつつ、エアホッケーは続く。
夕方になって、バーベキューのために集まった。
シャワーで砂を落としてから、匂いがついてもいい服に着替える。
「手伝わなくていいんですか?」
優歌先輩たちが手を貸そうとしたが、母に止められる。
「いいのよ。おもてなしだから。ドンドン食べてちょうだい」
「ありがとうございます」
とはいえ手持ち無沙汰だったのか、みんなでお皿やコップなどを配り始めた。
各自、思い思いに肉を育てる。
「紙皿に火が燃え移らないようにだけ、注意するんだぞ」
「わかった」
リンに至っては、いきなりホルモンという絶倫ぶりを発揮した。
焼けた肉を、みんなが口にする。
「おいしい!」
我先に、リンが絶叫した。
本当だ。外で食べると格段にうまい。スーパーで買っただけの肉を市販のタレで食べるだけなのに。
「バーベキューは憧れでしたの」
「ボクもです。まさか、こんな大人数が集まってくれるなんて。みなさん、ありがとうございます」
はやせが礼をいうと、みんなも頭を下げてきた。
「とんでもありません。こんな体験、なかなかできませんわ」
「そうそう。去年は、はやせくんたちとも知り合えていないし。ずっとバイトしていたよね?」
「はい。でも、今年はこんなに遊べますわ」
一年当時のふたりは、学生らしさとは程遠い生活を送っていたという。
「新入生もはいったことですし、今年はゆったり過ごそうと優歌さんと話し合っていたんです。リンもはやせさんと打ち解けて、喜びもひとしおですわ。連れてきてよかったです。ありがとうございます」
女子たちから感謝されて、はやせは照れくさくなる。
「ありがと、はやせ」
ホルモンをつまんで、リンが「あーん」をしてきた。
「オレもだ。来てくれてありがとうな」
はやせも、カルビを「あーん」し返す。
「優歌さん。わたしたちも負けていられませんわ!」
盛り上がってきた唱子先輩が、焼きおにぎりを箸で掴む。
「いやいやっ、焼きおにぎりって! あーんとかできる大きさじゃないから!」
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