『DOWN TOWN:それでも町は廻っている OP』 海の家でラーメン
「で、では、はやせさん。リンがはやせさんにプロポーションを見せたことで、我々のサービスカットは終了となりますわ」
かなり無理をしていたのか、唱子先輩たちが手で太ももや胸をガードしていた。
「あ、ああ。はい。そうしてください」
二人はまだいいが、リンは海に入ったら間違いなく大事故になるだろう。
「ではお言葉に甘えて」
大急ぎで、唱子先輩はパレオを腰に巻く。
優歌先輩も、白地のTシャツを着てデニムの短パンを穿いた。ただ、腰のボタンを止めずにヒモなどは見せつける形に。
二人は気づいていない。余計に目立つということを。
「ビーチボールでバレーねぇ。わたしも、気になっていたんだよね。ぶっちゃけこんな大勢いる中でバレーするのは邪魔になるし、かといって、広いスペースがあるかというと」
見渡す限り、観光客だ。これでは砂でお城を作ることも難しい。正直、観光地をナメていた。
「じゃあ、どうします? ワニかバナナの浮き輪でも買って、浮かびますか?」
「海の家でラーメン」
唐突に、リンが切り出す。
たしかにこれだけ混雑していると、食べることくらいしかできない。
「一度、食べてみたかった」
「いいですわね! ちょうどお昼ですし、陽射しも避けられますわ」
はやせは、財布を出した。
「じゃ、オレがおごりますよ。みなさん来てくださったし」
「よろしいので?」
「ていうか、ウチで食べるので」
「ああ!」
唱子先輩が、手をポンと叩く。
「憧れのコインスナックでしたわ!」
「一度、食べてみたかったんだよね!」
二人の反応を見て、はやせはニヤリとする。
「わかってますって。『それ町』でしょ?」
アニメ『それでも町は廻っている』では、クリーニング屋に置いてある自販機でうどんを食べる回がある。アニメオリジナル展開らしいが。
早速店に戻り、自販機にコイン投入。
はやせとリンはラーメンを。
他の二人はうどんを頼んだ。
「このペラペラのチャーシューと厚いメンマ。澄んだスープ。まさに海の家」
「うまいか?」
「最高」
ちゅるちゅる、とリンが小さく麺をすする。
「でもいいのかな? 海に来たのに入らないって」
身もふたもないことを、優歌先輩は口走った。
「現代人なんて、そんなもんですわ」
一味をガンガンにきかせながら、唱子先輩はうどんを貪る。
「すいません。オレが女だったら、もっと楽しめたでしょうに」
「うーん。多分わたしたち、女の子同士でも海ではハシャがないかな」
ドライな感想を、優歌先輩が告げた。
「優歌さんの言うとおりですわ。ご自身の性別を呪う必要はありません。今日は海で遊ぶと言うより、水着姿をはやせさんに見せることが目的でしたので」
「そうだったんですか?」
「水着回なんて、そんなもんですわ」
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