(30)急務
「ええ!!!つまり妹サんの部屋ノ鍵はダナス議員の家系しか開けられないと!??」
ブランは驚いた。
「そうだな、全部試したがダメだった。大昔の特殊な鍵が使われてた…。
いくら鍵開けが出来ても開けるのは無理だ。」
ジアはそう返した。
「簡単にはいかなそうだな…。」
マイル上官も困ったように話した。
「俺なら鍵ごと壊しちまいますがね。」
先ほど別件から帰ってきたアンドリューが、そうこぼした。
「アンドリュー、大昔の鍵だ、力でなんとかしてドアが開かなくなってしまったらどうするんだ…。」
マイル上官はアンドリューの意見にため息をつきそうになった。
「後は、病気で寝込んでいる娘さんがいると言うことか、理由はどうあれどうしたらいいものか。」
マイル上官は考え込んだ。
一旦悪魔の少年ジアの身柄は、警察署にある夜間警備用の寝泊まり用の部屋で預かることになっていた。
---その夜
「落ち着かないのですか?」
警察署の屋上は、風がひゅうひゅうと吹いていた。
そんな中、クロノはそこに立っていた悪魔の少年ジアに話しかけた。
「ああ…」
ジアは返事をした。
「こんな所では体が冷えますよ、署内にもどりましょう。」
クロノはジアに声をかけた。
「なあ、なんで世界はこんななんだろうな…あんたが警察だ、ていうのも驚いたよ…。」
ジアは語り始めた。
「スラムではさ、今でも悪魔の子供がたくさん死んでるんだぜ。食べ物が十分に行き渡ってないんだ。
大人達はまともに生きていくことが出来ずに犯罪を犯す者に成り下がっちまう。
どうしようもないんだ…。俺たちはそんな中で生きてきた、何人もそういう悪魔達を見てきた。」
殆どの犯罪を引き起こしているのは悪魔達だ。天使で犯罪を起こす者もいるが、数だけで言うなら圧倒的に悪魔の方が多い。
天使達は優位な立場に立ち、悪魔達は差別をされる、職に就くことも出来ず、スラムに追いやられる。その歪みが今の状況を生み出した。
路地裏に、悪魔の集まりができ、悪魔の行商人がスラムに物資を持ち込めるようになってから、すこし治安は良くなってきたものの、不当な扱いを受けてきた悪魔達は皆やはり犯罪を犯す者になっていた。
その時
「帰ってきたな。」
ジアの腕に逞しい鷹が止まった。
「言ってなかったが、俺のホークは、伝書鳩みたいに生優しいもんじゃないぜ。」
ジアはクロノを見てそう言った。
「!!あのとき、飛んでいった鳥は、その鳥だったんですね。」
クロノは驚いた。
「ああ、そうだな。今は妹と連絡をとろうとしているんだが…なかなかとれないな。」
ジアはそう返した。
「その方法使えませんかね?」
クロノは提案した -
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