(25)真相2


「つまり、君は雇われていなかった。スラムで男に声をかけられたという証言は嘘、違いますか?」

クロノは言い放った。


「くそっ、どうしてわかった!!!」

そう答えたのは、アンドリュー巡査長が捕まえた、スラム育ちの悪魔の少年であった。


ここは、警察総本部マアトの中にある留置所だ。彼は事件に関与したということでしばらく檻の中に収監されていた。

未遂ということで、罪は軽いとされていたが。


それなのに、彼は檻を抜け出していた。

見張りのものは倒れている。どうやら気を失っているようだ。


「手に持っているのは、スラムでしか取れないエト草ですね。」

クロノは彼の手を見て言った。


「なぜ知っている、、、。」


エト草は、眠り草の一種だ。スラムでも辺境の場所でしか取れず、悪魔でさえ知っているものは少ない。

その香りには気を失わせる効力があり、顔に近づけてはいけないとされている。

一瞬だけなら、数分気を失う程度、しかし長く押し付けられれば一日は気を失ってしまうだろう。


「君は昨晩の深夜も、この檻を抜け出していましたね。」

クロノは問い詰めた。


「昨日お前とはすれ違わなかったぞ!」


少年は答えた。そして口を押さえた。


「ええ、バレないように外の

遠くから見ていました。君はとても気配に鋭そうだし、近くにはいませんでした。おそらく君は見張りの警官を数分眠らせ外に出ていた。

数分なので警官たちも居眠りをしたかくらいに思ったのでしょう。」


「なぜ檻から出たのがそれでわかる!?」


「それは–」


クロノはスラムで育ち、常に物を取り合って育った、物を奪われ、奪い返すには相手を追いかけなければならなかった。その習慣から同じ悪魔の気配を数メートルなら辿れるという稀有な能力を持っていた。



「ごほん、君は檻からでた。そして、鍵を盗み外に出て、建物裏から連絡用の伝書鳩を飛ばした。違いますか?私は君が外で動いたのを察知した、そして建物裏から伝書鳩が飛んでいくのを見た。」


「そこまでわかるのかよ、、、」

少年はうなだれた。



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