第37話 私の結論

 私が躁鬱で精神科に入院して、出てきて思ったのは、もう女はできないな、ということであった。怖がるからね。そこで、風俗に行くという事になるのだが、バイトで稼いだ雀の涙では、頻繁ひんぱんには行けない。そこで考えるのが「死」だ。はよ、死ねんかなー、はよ、死ねんかなーと思うようになった。私の場合、バカなので、忘れている日もあるのだが、同じ病の友人など毎日死にたいと言っていた。


 私は、躁の時には、自信満々になる。女性は、自信のある男性に弱いようで、その後、一人付き合ったことがある。なんだ、付き合ってんじゃんと言われそうだが、付き合ったのは、同じ心の病を持った女性であった。でも、付き合えたんなら良いじゃんとまた言われそうだが、これが難解であった。


 彼女は、統合失調症であったが、ヤクザが好きで、付き合っていた時にボコボコにされて、奈良に二年、避難するも、また大阪に帰ってきて元ヤクザと付き合うということをしていた。その後、別れて、私とは、入院中に知り合って付き合うになったのだが、まず、最初のデートからして私を怒らせた。


 大阪の阪急梅田駅の改札口で待ち合わせをしていたのだが、デートの待ち合わせの30分前に、着いたとメールがあった。それで、私が利用している大阪メトロを降りて急いで改札口まで走って行った。しかし、探し回ったが、彼女はいなかった。それで、メールでどこにいるんだと聞くと、改札口を降りたところにあるマクドナルドの前で待っていると言う。


 そして、マクドナルドに行くと彼女はいたのだが、なぜ、改札口で待っていなかったのかと聞くと、「分からへん」と言って体を海老ぞりにしてゲラゲラ笑う。私は、頭に来たのだが、その場は我慢して、スパゲッティーを食べに行った。その後、何度かデートを重ねたが、どうしても、あの海老ぞりが頭から離れず、別れ話になった時に、どうして改札口で待っていなかったんだと問うと、「なんで、私がマクドナルドの前で待っていたことを、そんなに怒るのか分からないよ‼」と言う。これが決定打となった。


 その元カノと先日、お茶をしたのだが、今、彼女は、元寿司職人で元ヤクザのおじいさんの家に入り浸っている。そして、その元寿司職人は、50億持っていたが、奥さんと離婚した時に、そっくりそのままあげて、彼は現在生活保護で暮らしているという。50億という金を持っていたと元寿司職人が妄想で言っているのか、彼女をだましているのかは、分からない。


 あるいは、彼女が、50億持っていたと妄想で言っているのかもしれない。まあ、どれでも良い。そして、彼女曰く、女友達が彼女のもとを離れていくと言う。どうしてかな?と私に聞くのだが、開いた口がふさがらなかった。ヤクザ関係者とばっかり付き合って、女友達が怖くなることが分からないのである。だから、私にとって、普通の彼女ができるなんて夢の夢。一般女性に嫌われようが、なんとそしられようが、風俗に行って楽しむ。これが、私の結論。





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