第36話 ギタリストの是方博邦さん(。・ω・。)ノ♡

 これは、私が大学受験に失敗し、二浪が決定したときの話である。当時、私はギターのコピーに燃えていた。高中正義さんの渚モデラートを良く弾いていた。弟もギターにハマり、彼は、お小遣いでヤングギターという月刊誌を買っていた。その中で、是方博邦さんのリトル・ホースマンの広告が載っていた。


 是方さんは、俳優になってもおかしくない風貌なのである。それで私は不遜にも「どうせ、カッコが良いだけで音楽の中身なんかともなっていないんだろ」と思ったが、一応、聴くかと考え、貸レコード屋でアルバムを借りた。しかし、一曲目から、ブルース・フィーリング溢れるアルバムでぶっ飛んでしまった。熱い、とにかく熱い。


 こうして、私は是方さんのアルバムのコピーにのめり込むことになった。夜、弾いて昼予備校で寝るという事を繰り返していた。私の中で、是方さんはヒーローなのである。なんとか入った大学で、是方さんの新しいアルバムが出て狂喜乱舞した。ファンクラブにも入った。誕生日には、直筆のバースデイカードが送られてきた。


 大学を出て就職し、ギターを弾く余裕がなくなったので、聴くだけだったが、会社を辞めて、アメリカに留学してバイトしていた時は、また出た新譜の「哀愁のクジラ」という曲をコピーしていたのが印象に残っている。アンプも購入していたので、さぞかし、ご近所様には迷惑をかけたことだと思う。


 帰国して、躁うつ病を発症し、薬の副作用か、運指がうまくいかないようになった。曲もおぼえられないのである。それから、私は一時期、というか今もそうなのだが、ギターの音より、ドラムのスネアの音が好きになった。それで、ギターよりも、たまに電子ドラムで練習している。しかし、これも曲をおぼえるのが大変なわけだがけれども。


 去年、Twitterで是方さんのつぶやきを引用ツイートしたら、なんとご本人から返事があった。えっ、あの是方さん読んでくれていたんだ‼とびっくりした。もう、一人ファンの女性も加わり、彼女が今はなくなったファンクラブをまた、作ってほしいと言う。あのね、今、Twitterでご本人とやりとりできるんだからファンクラブは必要ないでしょと思ったのだが…。


 それにしても、是方さんはギターで本当に素晴らしいメロディを作り続けておられるなあと思う。ミュージシャンズ・ミュージシャンの典型。昔、彼が教則ビデオでワンフレーズは誰にでも作れる、しかし、それを一曲にするのが難しいとおっしゃられていたが、実は、私も20年がかりで一曲作っている。しかし、自分で作ったのに、弾けないとう状態が続いている。情けなー。まあ、僕はドラムで行きますわ。

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