第24話 独立系シンクタンクに儲け仕事なんかない

 私の最初の職場は、独立系シンクタンクで、ここは所員16名全員に経営権が与えられていたのだが、そこらへんの説明は省く。


 私の仕事は、大阪市経済局が発行する「大阪経済のあらまし」という大阪の経済の現状と動向について、各種統計資料などをもとに、グラフや図表を作成するものであった。分析・解説は、専門の有識者が行った。この仕事は、最初から印刷の経費などで、赤字が出ることが分かっていたが、経済局への営業の意味合いを込めていた。


 各種統計資料は国からデータが締め切りギリギリで上がってくるものが少なくない。この理由からグラフ・図表の作成が遅れる。しかし、経済局の役人にはこれが分からない。ある日打ち合わせに行くと、担当の女性の役人が、「大阪経済のあらましは、放っておいて儲け仕事ですか。ちゃんとやってください!」と、大声を出した。


 アホか、おばはん!国からデータがあがってこんのじゃ!それに独立系シンクタンクは、単価の低いレポートを書いているので、儲け仕事はない。それにそもそも、この大阪経済のあらましは、経済局の役人に経済の基礎的な実力をつけさせるために作られたもので、外部に発注するものではないと、あとで知り合いになったOBから聞いた。この本のデータを加工してグラフ・統計にするためには、煩雑な仕事をする必要がある。それで、うちに外部委託させたのだ。


 もっとも、うちの会社が赤字覚悟を請け負ったのは、前述したとおり営業を兼ねていた。経済局と企画していた大阪経済のコンサルティングの仕事を受注するためである。この仕事は受注額が大きかった。しかし、この仕事は確か三菱総合研究所が受注した。社長が、経済局に理由を聞きに行くと「三菱のほうが名が通っているから」というものだった。


 役人は、こういうことを平気で言う。人間の血が通っているのか。何が儲け仕事じゃ、アホンダラ。これくらいは言ってやらなければ気がすまない。今、朝の三時だが、腹立ってきたので、書いた。ストレス発散になるかと思ったが、余計腹が立ってきた。

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