第9話 もし、生まれ変われるとしたら

まず、私は背骨と仙骨が骨性に固まっている問題、これを正常化したい。炎症はないが、椅子に座るとどうしても姿勢が前屈し、胃が圧迫されて苦しいし、正しい姿勢を取ると、今度は座骨が痛い。


 それから、私の頭の回転をグレード・アップしてほしい。父親の話についていけない。ただ、父親の幼児性は、上げてほしい。夕食時になるといつも怒りだし、場の雰囲気を悪くする。私が、母親と仲良く話しているのが我慢できないのかもしれない。私は、母親っ子だから父親が母親をやり込めるのを聞いて、ここ40年、毎日のように頭にきている。それも、大声を出して怒鳴りつけてやろうかと思うくらい。ただ、母親は気にしていないのだが…。


 幼稚園には、不満はない。スイミングスクールにも通わせてくれた。問題は、小学校だ。私は、野球少年だったが、私立受験をするために取り上げられた。動きたいのを止められる。これは、ものすごいストレスだった。だから、私立受験など考えてほしくなかった。成長期にある子供にとっては、やはり体づくりだろう。


 中学校、部活はテニスに入ったが、成績が落ちて止めてしまった。欲を言えば、この時に、止めるなと言ってほしかった。唐突だが、テニスをやめるなら、合気道をやれと言ってほしかった。体が資本だし、合気道をやっていればイジメられる事もなかったと思うから。高校は、中程度に入ったが、低くてもよかった。


 私は中程度の大学に二浪して入るのだが、その二浪がすごく無駄に思える。高校を卒業した時点で、入れる大学に入れば良かった。そして、バイトをして、海外、韓国ではなくインドにまず行くべきだった。韓国では、ユースで知り合いになれた日本人と仲良くなれた以外、反日感情が強いなしか感想しかない。しかし、インドはショックの連続だそうだ。人生観が変わったかもしれない。


 さて、仕事だが、ザクっと割って三つ選択肢があると思う。役人、サラリーマン、起業家だ。私は、30の時に躁鬱を患う。この病気は完治がなく、ボチボチ働くことが肝要なので、9時~5時の役人が一番適している。だから、大学では、バイトなんかもせず、地方上級公務員くらいの試験を思いっきり頑張る。これで良かったのだと思う。


 そして、晴れて公務員となる。自分の仕事が安定していることは、精神安定上とてもよろしい。役所は、ノルマがなく、税金で食えるという鉄壁のシステムで成り立っている。ただし、クーデターが成功すれば、話は別だが。


 結婚だが、公務員を女が放っておくわけがない。恋愛でもお見合いでもできるだろう。固い職業についている男が好きな女はいるものだ。そして、家を買って、車買って、子供つくって。と、まあ、書いてみて笑ってしまったのだが、私は今まで好んでやってきたアップダウンの激しい人生を送るよりも、本心は、何の波風も立たない役人になりたかったのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る