私の湧き水8 電車

まえがき

これは…アレですね。ある日すごく暇な日があって、電車に乗ってすこし遠出して1人で散歩した時の日記ですね。私昔から電車が大好きで。あの揺れる感じと、知り合いが誰もいない=誰も私に興味がないという感じと、いつでも死ねるという安心感が本当に好きなんです。だからぼーっと電車に乗って出かけてみたんですよね。そいうのが案外心の栄養になる時期でした。



電車に乗った。

特に用があった訳ではないのだが、バレエをやっていた時はよく使っていて、1人でそのへんを歩くのが好きだったので、今日は最寄りからバレエ教室のあるあたりまで電車で行って、2時間ほどそこら辺を散歩した。


車内放送や電車の音、途中の駅で見える廃墟、7年間毎週通った道、変わらず大きい川、駅の自販機・・・数ヶ月ぶりでも懐かしく見えた。


人生が長くなるほどに、世界が広いことを思い知らされるものだ。

家族と友達しか無かった世界

それが徐々に広がっていくことで、1つのものへの執着がだんだん無くなって、そのうち、自分が特別なものではなく、広い広い世界の1部にすぎないことが分かってきてしまう

そうやってだんだん諦めを覚えていって、自分を大切にできなくなって

妥協を繰り返しながら死んでいくんだなぁ。


夏休み、汗だくになりながら何度も歩いた道を、今度は冷たい風を浴びながら歩いた。

前は時間が無くていそいそ歩いていた道を、有り余る時間でゆっくり歩くと、見たことが無かった景色が思いのほかたくさん見つかった。

紅葉していたり工事されていたり、変わったものもあったけれど。

忙しくまわる時間から外れてみると、私の大好きな自然が何倍も私の目に美しく映っていた


神社を見つけてお賽銭してみたり、川の縁に立ってみたり、踏切を渡ったり・・・公衆電話も初めて使ってみた。


友達も先生も家族も誰も私が何をしているか分からない状況と、イヤホンから流れる雑音を消す音楽が、周りに人がいても自分の世界があったようで

不思議とすごく落ち着いていた


誰かに会った訳でも何かを成し遂げたわけでもないけれど、こういう時間が人間には必要なんだろう。

明日からも

何とか生きていけそうだ。

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