第4話 僕の話


ああ、ごめんなさい。

こんなに長々と話し込んでしまって。

僕の話は、こんなもんです。

___えぇ、彼女に、もう一度会いたかったです。

僕はずっと、あなたを愛していました。

何よりも、あなたが一番でした。

いや___今も。

愛しています。

この言葉が君に届くかはわからないけど、

もう一度やり直して、君に出会えるなら……

今度こそ、君に、認めてもらえるような僕になって君に会いに行きたい___なぁんて、夢物語ですね。

君も僕も、“生まれ変わり”なんて信じてないタチですから__きっと神様もそんなの叶えてくれないでしょうし。

本当にそんなものがあれば……僕も、君にいいところ、見せられたかもなぁ。

戯曲のような、なんというか__これは、僕の叶わぬ、願望です。

……君がいなくなってから三ヶ月。

僕は今日、この手紙を見つけました。

君が僕に宛てた、最後の手紙でしょう。

そこには、三ヶ月前の君から、僕に宛てた最後の“愛”でした。

君は僕を愛してくれていたこと。

大切に思っていてくれていたこと。

だからこそ、ここに僕を置いて行ったこと。

僕はこれを見た時、ごめんと、ただそれしか言葉が出ませんでした。

もうきっと間に合わないだろうけど……

ごめんなさい。

僕は何よりも君を愛しています。今も。

何度でも伝えてみせるから。

君が、今もどこかで生きていると信じて。

僕は、君ともう会うことはないでしょう。

きっと。

ここは鍵をかけずに開けておきますから、君だけでもどうか、幸せに暮らしてください。

僕はここを出ます。僕の___最後のケジメをつけるために。

惰性で暮らしていた僕に別れをつけるために。

さようなら、ここで暮らしていた僕。

さようなら、この壊れた世界。

この通信が、僕の、最後の通信です。

どうか、これを聞いている人がいたなら、僕らのようじゃなく、ここで、しっかり生きてほしいです。

ここなら、きっと生きることが出来るから。

もし、これを誰かと共に聞いているのならば___

この壊れた世界で、後悔しないように暮らしてほしい。

この世界は、酷く孤独で、取り返しがつかないものばかりだから。

僕から言えることは、こんなものでしょうか。

___もし、万が一。この通信を君が聞いているのならば、うーん。そうですね。

___僕のことを、また、思い出してほしいなぁ。

ちょっとでいいから、僕のことを思い出してくれたらいいな……なんて、欲張りですね。

あ、はは。なんでかな。泣かないって決めてたのに。

勝手に、涙が溢れてきちゃいました。

……まぁ、そうですね。

僕は君と出会えて、付き合えて、とっても幸せでした。

ありがとう。

さようなら、僕の愛しい彼女。

またいつか、会いましょう。××。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る