第7話 ファンタジーって何

 異世界ファンタジー。ランキング一位作品のタイトルに、柳之介は言葉を失った。


元勇者なんだが、美少女ハーレム大好きで婚約破棄、クラス転移でチートでモフモフ、ざまぁ祭りだワッショイワッショイ、おら異世界さ行ぐだ、ソーレソレソレ、ドラゴンの魔法使いで転生だ


 この不可解な文字の羅列がタイトル?

 どう解釈したらいいのか、混乱する柳之介。

 中身は、一体どのようなものなのか。

 こわごわポチしてみると、


 第二章 トロロと怪獣オボロコンブの戦い

 1919話 トロロ危機一髪(69)


「危ないぞ、下がってろ!」

 トロロが親衛隊のミに¥ニスカトリオ、メンタイ、シャケ、ツナマヨに向かって叫ぶと、

「「「はーい」」」

 元気よく答えるトリオのミニスカが風でめくれ上がり、赤、白黄色のパンチラが、まぶしい。


 鼻血ブー。

 これでは戦いどころではない。やはり怪獣オボロ昆布は、そんなトロロの油断を見逃さず、火炎を吹きかける。


 ゴオオオオオ


「ギャオオオオー」


 ドドドドド

 トロロが瞬間移動したため、火炎は洞窟の壁にぶちあたり、激しく壁が崩れた。


 ガラガラガッシゃーmm


「ギャオーギャオギャオー」

 しまった、エネルギーの無駄遣いだ、と、歯ぎしりして悔しがるオボロコンブ。


 ズズズズズ


 ドドド百々


「トロロ様、頑張ってえ」

「今夜は激辛カレーよお」

「デザートは、あ、た、し。うッフーん」


 **************************


 ムリだ。とても、これ以上は読み進められない。

 柳之介は、キッと堀をにらみ、

「堀さん。本当に、これがrンキング一位の小説、なんですか」

「まあ、ラノベ。ライトノベルですけどね」

 ライトノベル、は知っている。だが、いつぞや目にした作品は、もっとこう、小説らしかったのだが。今はこんなことになっているのか。

「変換ミスがあるようですが」

「ああ。推敲もせず、一日二回、三回とアップするから、どうしてもそうなるでしょうねえ」

 それがどうかしましたか、といった口調だ。


「到底、私の手には負えません」

 内容もさることながら、タイトルで理解できた言葉といえば。最後の「転生」くらいだ。

「昔、『魔界転生』という映画を見ました。天草四郎が生き返って幕府転覆を企む、とかなんとか」

「おお、和風ファンタジーじゃないですか」

 そっちの路線はどうですか、と堀は言うのだが。

 他に覚えているのは、細川ガラシャ夫人だったかな、色っぽい女性が出てきたくらい。とても何か書けるとは思えない。


「やっぱり私には、無理です」

 肩を落とす柳之介に、

「あきらめちゃいけません。まだまだ書けそうなジャンルがあるはずだ」

「カケヨメ」のトップぺージに戻って探しましょう、と堀は言った。






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