第42話 共同壊滅作戦10

タクマは4人に守られた状態で考えていた。最近の連続的な餓鬼による事件の発生している数は数件であった。しかし、ここには50体以上もの餓鬼がいるが、人を喰わなければ餓鬼にはならないはずなのだが、この餓鬼は人を喰った形跡がない。人を喰った餓鬼は人間に戻ることはないが、ほとんどの餓鬼の肉体から宿主にされた元の人間の姿に戻っているからである。


「たしか、神社で戦った餓鬼も同じだったよな・・・」

「昔から残存する太古の蛆に寄生されたのではでなく、意図的に創られた可能性が高い。それにこの死霊の動き、一見無造作に集団で襲ってきているが、隊列をなしているというか、動きをコントロールされているように見える・・・」


瞋鬼が月ヶ瀬に話かけた。


「その20式小銃って新しいやつだよな? 自衛隊も国内の重火器メーカーを守ることだけで採用するのやめて、俺のHK416とか、誤鬼のM4A1とかのほうが実践向きじゃない?」


月ヶ瀬が小銃を撃ちながら答えた。


「過去の敗戦から国内の軍事産業は縮小の一方だし、緊縮財政の煽りを受け年々防衛費も減少だしな。国内の軍事産業は今後海外への展開を見据えてるし、我々もそれには協力して実績作るため使うってことよ。そもそも。軍事産業牛耳ってるのだって、お前ら八閻山の下部組織だろ?君たちの利益のために我々は協力してるってこと」

「俺は五行に入った時に驚いたよ、鬼は桃太郎とか、節分とか、なまはげとか、架空の物としか思ってなかったけど、実はその鬼の下に人間がいるなんてね・・・」

「他の国はどうなんだろう・・・魔女とか、ドラキュラとかいるのかもね」


数十分後、死霊は全て粉々に粉砕し、あたりは肉片と血の海となった。


月ヶ瀬は辺りを見回す。


「まだ、何か起きるかもしれないから、このまま待機する」


貴僧坊が目をこすりながら言った。


「あれ?俺目が悪くなったのかな・・・周りが歪んでみえるんだけど」


「そう言われれば俺も歪んでみえるし、なんか体が重くなってきた感じがする」


「俺も同じだ」


死霊あいつらに毒巻かれたか・・」


その場にいた全員が同じ感覚であった。


「とりあえず。この場を離れる。タクマ、口鬼動けるか?」


「大丈夫っす。十分休めましたから」


タクマと口鬼がたちあがったその瞬間、鈍い重低音と共に全員が地面に叩きつけられたかのように地面に這いつくばった。その音が大きくなるにつれて、地面へ押しつぶされる力は大きくなっていった。


弓でワタナベノツナ覚醒を救った者はその場を見下ろすことができる位置にいたため、何が起きているのかが分かった。


「あの死霊たちの血肉はただ散乱してるんじゃない、彼らを中心とし飛び散った血肉が五芒星を描き、結界になっている。近くに結界を張った者はいるはず」


結界から数十メートル離れた場所に人影を見つけ、空気と風を操る能力を使い空気を歪ませ望遠レンズの効果を作りその人影を見た。


元柱固具がんちゅうこしん八隅八気はちぐうはつき五陽五神ごようごしん陽動二衝厳神おんみょうにしょうげんしん害気を攘払しがいきをゆずりはらいし四柱神を鎮護ししちゅうしんをちんごし五神開衢ごしんかいえい悪鬼を逐いあっきをはらい奇動霊光四隅に衝徹しきどうれいこうしぐうにしょうてつし元柱固具がんちゅうこしん安鎮を得んことをあんちんをえんことを慎みて五陽霊神に願い奉るつとみてごようれいしんにねがいたてまつる


その人物は呪句を唱えていた。


「少女!? あれは・・・!!」

藤那蓮樺可ふじなれんか!! でもあの時、私が射抜いたはず・・・」

「それに呪力が桁違いに上がっている・・・」


「餓鬼はおとりで、討伐隊を1か所に集めて結界に封じる。全てはこれが狙いだったのか」

「でも私がここにいることは計算外だったね。ライコウ四天王の一人、卜部季武(うらべすえたけ)、ウラベスエタケ覚醒がいたことを。今後こそあなたを射って、そして結界を解く」


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