第39話 共同壊滅作戦7
足にしがみついている少女はどのみち助からない。どう選択しようとも結果は変わらない。しかし、あのすがるような目の少女を振り払うことはできなかった。全陰陽力を左腕のシールドに集中し、防御することを選択した。防御できる確率は限りなく低い、たとえ出来たとしても覚醒は解けてしまうことは分かっていた。その時、空気が吸い込まれるように風吹いた。ワタナベノナ覚醒には覚えのある風であった。
「そいつは私の獲物だ。それ以上手を出すな!」
「
渡邊綱を追っていた者は右手で矢筒から矢を抜くような仕草をし弓を引いた。周りの空気が渦を巻くように右手に集まり空気が圧縮される。光の屈折度合が変わり4本の空気の矢が現れた。
「距離おおよそ100m、硬化した皮膚は貫けそうもない。脇と大腿部を狙い関節に一寸の狂いもなく射抜く。動きを止められるのは長くても数秒、お前にできるかな渡辺綱?」
圧縮された空気を射出し矢を放ち、狙い通りに射抜いた。巨大餓鬼は両腕を振り上げた状態で動けなくなった。
その瞬間をワタナベノナ覚醒は見逃さない。
「
ワタナベノナ覚醒は低い体勢から伸び上がるように刀を振り上げ火山が噴火するが如く、炎を噴出させ、巨大餓鬼は炎に巻かれ崩れ落ちていった。
「ごめんな。助けられなくて・・・」
覚醒が解け、タクマはしがみついていた少女をそっと抱き寄せた。
「タクマー。こっちも終わったぞ。どうやら餓鬼の在庫切れたようだ」
口鬼は体中傷だらけで、止血した腕の傷口からもかなりの出血をしていた。
「もう無理、立っているのもやっとだからとっとと帰るぜ」
タクマは周りを見回していた。
「お前は先に帰って早く治療してもらってくれ。五行の医療チームを迎えに来させる」
「俺は残る。餓鬼を操っている奴が近くにいるはず、そいつを斬らないと意味がねぇ」
「んっ!? 地震?」
地鳴りと共に地面が揺れ始めた。
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