第38話 共同壊滅作戦6

「おーっ!カッケー。初めてみるぜー!タクマの覚醒した姿。めっちゃ強そうじゃん」


公園北エリアでは、口鬼は横目でワタナベノツナ覚醒を見ながら餓鬼を次々に粉砕していった。地面には餓鬼の肉片から寄生された元の人間で埋め尽くされていた。生存者を浄化する余裕はなく、ほとんどの者が息絶えていた。


巨大餓鬼はワタナベノツナ覚醒を見て、興奮しているかのうように雄叫びを上げ、地面に着くであろう長い腕と巨大な拳を連続で振り下ろしながらツナ覚醒に襲いかかる。


「この巨体でなんていうスピード。まして徐々に上げてきてやがる。これじゃ間合いに入れねぇ。動きを止めないと」


バックステップで紙一重で攻撃を避けつつ、大きく後方へジャンプした。


「よし、距離がとれた」


左手のひらの上に炎の球を出現させ、それを掴み、肘を大きく引き、放った。


炎球散弾ほのおだまさんだん まい


直線の軌道で放たれた炎の玉を巨大餓鬼は叩き落そうとした瞬間。


炎球散弾ほのおだまさんだん れつ


炎の球は8個に分裂し、それそれが放物線上の軌道を描き巨大餓鬼の脇腹へ着弾し、巨大餓鬼は絶叫しながら大きくのけ反った。

ワタナベノツナ覚醒は一瞬沈み込み反動をつけ巨大餓鬼の頭上へ大きく飛び上がり、刀を振り被った。


「俺の業火で燃え尽きろ」

鬼切丸おにきりまる 業火ごうか 天翔炎墜てんしょうえんつい


振り下ろした刃から炎が噴出し、巨大餓鬼の脳天から切り裂いた。その炎の軌跡が孔雀が羽を広げた様であった。


「終わった・・・」


着地したワタナベノツナ覚醒は顔を上げると、巨大餓鬼真っ二つに斬られた数体の餓鬼の束を両手に掴んでいた。巨大餓鬼は炎の球の衝撃でのけ反った時に背後にいた雑魚餓鬼を掴み、刃を防いだのであった。巨大餓鬼は切断された餓鬼からぬるっと抜け出た寄生された人間を喰らと、両腕が漆黒の金属のように硬化し、両腕を振り上げた。

ワタナベノツナ覚醒は防御は不可能と判断し、バックステップで距離をとろうとした瞬間、足を止めた。


「助けてください・・・お願いします。助けて・・・。こんな事にになるならあの女のこと信じなければよかった・・・」


まだ息のあった寄生された女性がワタナベノツナ覚醒の足にしがみついてきた。


「チっ!。どうする!?」


判断に迷いが出た。

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