第37話 共同壊滅作戦5

タクマと口鬼が餓鬼の襲撃を受けた頃、渋谷と池袋部隊は山手通りを新宿方面へ車で向かい、渋谷部隊は西新宿四丁目の交差点を右折し、池袋部隊は清水橋交差点を左折し、新宿中央公園に向かっていた。


レイナからの通信。


「各部隊、新宿西口公園に向かって、かなりやばい状況みたい。公園内に式神が仕掛けられてそこから餓鬼を召喚してるらしいの・・・」

「池袋の貴僧坊きそうぼうさんのチームは北エリアでタクマと合流、渋谷の七転ななだるさんのチームは西エリアと東エリアを探索してほしいの。一瞬なんだけど、人というか呪術師らしきの反応が出たの。それが式神使いかもしれない」


「式神使いってことは、おめぇーらの仲間が餓鬼捕まえて式神にして、人間喰わせてるってことだろ?人間ってーのは、簡単に嘘はつくわ、他人に頼るばかりで自分は何もしない、自分のことを見せたがりで考えを押し付ける、ちょっとでもそれを否定されると怒りだす。見下す相手を探してすぐマウントするろくでもねぇ生きもんだけど、とうとう陰陽師さんは愛想つかして人間狩りを始めたってーこと?」

「なぁ綺鬼きき、その人ちょっと誉めてやりたいよな」


「俺はどうでもいいや。この世の全て意味なんてないんだから・・」


十鬼の舌鬼が皮肉たっぷりに言った。舌鬼ぜつきは口鬼の弟で、同じように強靭な脚力で攻撃する。綺鬼は何事にも興味は持たない性格で物静かな鬼であった。人差し指が鋭い針状をしていて、その針で脳神経にダメージを与える。ちなみに十鬼の姿だが、体型は基本人間と変わらないが、皮膚が緑もしくは青味がかっていて、目はつり上がり、額に1~3個の盛りあがった部分があり、秘技を使う時にここから角が突き破ってくるらしい。


式神で召喚できるものは神であって、通常は陰陽師以外には見えないのである。誰にでも見える、まして餓鬼を式神として召喚するなど、過去の高度な呪術師でもいなかった。


七転は渋谷部隊のリーダーであり、指示を与えた。

「おそらく、一瞬反応が出たという人物が今回の事に大きく関わっていると思われるので、我々はその人物を確保する。当相当の呪術師である可能性があるので発見しても安易に接触せず連絡を取り合う事」

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