第34話 共同壊滅作戦2

連続多発猟奇殺人事件の発生場所は新宿、渋谷、池袋の繁華街、時間は23時ごろに出現することが多かった。事の重大さに東京都は夜間外出禁止令を出し警視庁総動員で警戒にあたっていた。


「よー、堂本タクマよー、俺たちが来てから、餓鬼のやろう全く出てこねぇじゃんかよ!」


「うっせーなぁ。みんな怖がって街に人っ子一人いねぇんだから出てこねぇだろう。餌がなきゃ魚もつれないだろう?」


「じゃあ、隣の街から2、3人さらってくればいいんじゃね?」


「お前が、餌になれ」


新宿近辺を見回っているのは、堂本タクマと十鬼の口鬼こうきだった。


「なぁタクマよー。昔、殺鬼さっき斬ったのはお前だろ?別に誰が誰を殺そうと気にしねぇんだけど、中には斬った奴をぜってー殺すって言ってる奴もいるんよ。もし斬ったのがお前なら十分気をつけろよ」


「忠告は感謝する。今まで無数の鬼を斬ってきたから、そん中に殺鬼ってのがいたかどうかは覚えちゃいねぇ」


タクマはそう言ったが、タクマが初めて覚醒ツナになり、斬った鬼は殺鬼であることは今でも鮮明に覚えていた。


時刻は23時を少し過ぎていた。突然レイナから連絡があった。


「タクマ聞こえる? 西新宿都庁付近で反応あり、急いで行って!」


「おいおい、繁華街じゃねぇのか・・反対側じゃん」


タクマと口鬼は新宿西口方面に向かった。口鬼は異常なほど腿の筋肉が発達しており、その跳躍力での移動はタクマのバイクの速度とほぼ同じであった。


「お前、めちゃくちゃ速えーな!路地じゃバイク使ってもぜんぜん追いつかねぇ」


新宿西口に向かう二人の姿を雑居ビルの屋上から監視している人影があった。


「どうやら、動き出すようだね。渡辺綱この時を待っていた・・・。裏切者、今度は鬼と仲良く追っかけっこか」


その人影は、ビルからと飛び降りると、大気を蹴り、空中を飛んでるかの如く移動した。


「こちらレイナ、タクマあとどれぐらいで着く? 反応が増えたの、3,4,5・・・9、わぁーまだ増えていいくー。いったいどこから沸いてくるのよ!」


「あと、5分もあれば、ただその数俺らだけじゃ無理だから、渋谷、池袋の隊を呼んでくれ」


渋谷地域には、五行陰陽師弐番隊の七滝ななだる地蔵堂じぞうどう、十鬼の綺鬼(きき)と舌鬼(ぜつき)、池袋地域には五行陰陽師参番隊の貴僧坊きそうぼう月ヶ瀬つきがせ、十鬼の瞋鬼しんき誤鬼ごきが配備されていた。

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