第3章

第33話 共同壊滅作戦1

横浜の事件から数日後、連日ニュースでは東京都内で起きている失踪事件と、連続多発猟奇殺人事件の報道がされ人々は恐怖に怯え始めた。その事件の真相は餓鬼による人食いであった。

鬼は始まりの鬼からの自然交配による生まれる純血種と、人間に伊弉冉尊いざなみのみことの腐敗した肉体に沸く蛆か、八閻山の肉片から沸く蛆が寄生することで変異する変異種がある。

なお、純血種は人肉を食べることは禁止されている。

いにしえの人間と鬼の休戦協定後は、伊邪那岐と八閻山共同の倒鬼隊とうきたいを編成し、邪鬼や餓鬼は一掃された。しかし黄泉の国から未だに沸く伊弉冉尊の蛆により変異種は年に数体出現していたが、五行陰陽師や十鬼じゅっきにて退治されてきた。

八閻山にとって、変異種は過去の異物であり邪魔でしかなく、伊弉冉尊いざなみのみことの力がいまだ現存することが恐怖であった。

餓鬼は本来、捕食本能のまま単独で、昼夜問わず生命を食い尽くすのだが、今回の事件では一定の時間帯に同時多発的に出現することから、組織化している可能性があった。


八閻山は横浜での全自由会の襲撃、柳田の失踪と何らかの関係がある可能性があるため、五行陰陽師と十鬼との共同壊滅作戦をとった。

八閻山と伊邪那岐イザナギの休戦協定は現代でも続いているが、お互い都合の良い時だけ協力関係にあたる。


十鬼とは八閻山配下の10人の鬼で非情極まりない暗殺集団。ターゲットが人間だろうと、鬼だろうと関係なく任務を遂行する。表沙汰にしたくない事件の後始末や人肉を喰った純血種の抹殺も行っている。元は純血種だが実験的肉体強化により餓鬼相当の力を持つ。

 殺鬼さっき偸鬼ちゅうき淫鬼いんき妄鬼もうき

 綺鬼きき口鬼こうき舌鬼ぜつき慳鬼けんき

 瞋鬼しんき誤鬼ごき

の10の鬼からなるが、殺鬼はタクマが子供時代に倒している。

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