第32話 生命力

「ったくー。ミナト兄ィ何処いってたのよ!」


クミがマユリとやってきた。


「あのね、マユリさんがこれから神社のことお手伝いしてくれるって。私が学校行っている間に、お札の授与とかをやってもらうの」


「!!」


「あっ、お客さんいらしていたんですね。はじめまして私は妹のクミと言います」


「紹介するよ。レイナは俺のバイク友達で、この紅龍さんは明階(めいかい)の階位の親父の古い友人で、近くに引っ越してきたそうで、何十年ぶりかでお参りに来てくれたそうだ」


「そうなんだ。レイナさんいつも兄がお世話になっております。紅龍さん私は父のことは全く覚えていないんです。よかったら色々お話きかせていただけませんか?」


紅龍はクミから発せられるとてつもない生命力に驚き、晴明の狙いはこの娘、伊弉冉尊いざなみのみことうつわだと確信した。


勾玉まがたまは身に付けていそうじゃが、それでも抑えきれぬほどの力。この娘の出現が止まっていたときを再始動させよったな」


「今日はもう遅いんで明日また来るよ。ミナト君にもお父さんの代わりに神主として色々教えておきたいこともあるしな」


「教えるって・・・、たぶん修行とかさせられのかなぁ???」


ミナトは嫌な予感は的中するのであった。


「あーっ俺のバイク!」

「あーっ私のヘリ!」


タクマとレイナが一斉に声を上げた。


「ジジィーてめぇー。なんでこんなとこまで飛ぶんだよ。もう一回あそこに戻れ!」


続けてミナトが申し訳なさそうに言った。


「あのーちょっといいですか・・・、刀・・・なくしちゃったみたいなんですけど・・・」


一同唖然。クミは何のことだかさっぱり分からない様子。

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