第31話 平安の刻
「古事記とか日本書紀は多少知っとるかと思うが、そこでは語られない歴史があるんじゃ」
紅龍はそう前置きし語り始めた。
国生みの神、
黄泉の国にて、夫
安倍晴明率いる陰陽師は魑魅魍魎を一掃し、戦いに終止符が打たれるかと思われたが、
伊邪那岐は五神鬼に対抗すべく、
源頼光達と五神鬼の戦いは、死者の血肉により大気を淀ませ、大地を腐らせて行った。鬼を倒す前に国が滅ぶのを阻止するため、安倍晴明は帝を説得し伊邪那岐と八閻山に休戦協定を結ばせ、黄泉の国の門を開き源頼光と家臣を五神鬼と共に黄泉の国に落とし、門は封印されたのであった。その後鬼の一族は帝から東北の地が与えられ沈黙を続けた。
数十年後、平安の世は栄耀栄華を極めた。
世に平穏が訪れ、人々はこの世を謳歌していた。
だが、その裏に潜む
作られ、捨てられていく物。弱きを虐げ、力を振るう豪族。
安倍晴明は京の都を見下ろせる場所から、欲の
「紅龍殿、鬼の一族との戦いに終止符を打てた。だが、私が目指した『国生み』とは、これだったのか・・・?」
この言葉以降、晴明の姿は二度と見ることはなかった。
戦国の世になると陰陽師は表舞台から姿を消していた。乱世に乗じて鬼の一族は人界に紛れ、戦にてその強さを発揮し地位を築いて行った。そして彼らは、政治、経済の中枢にまでも入り混んで行った。
伊邪那岐、五行陰陽師は帝の直属秘密組織として、残存していた魑魅魍魎を退治し今もなお秘密裏に活動している。
「晴明殿は人の本性の醜さを嘆き、自分のしたことに疑問を抱いていたため、この時代を終わらせ新たな時代を作りだそうとしているのかもしれないのぉ」
紅龍のこう言うと、ライコウが言った。
「俺はまだこの世界のことは少ししか分からん。しかし、ここまでの時代に間違った行動や選択があったかもしれないが、自由に物が言え、やりたいことができる、誰でも政治にも参加できるこの時代は立派なもんだろう。晴明の野郎がどう思おうと、自分の思う世界と違うからって、国をぶっ壊すっていうのは納得できねぇな」
「そもそも、俺様を1000年以上もあのくせえー黄泉の国へ閉じ込めた恨みを晴らさんと気がすまねぇし」
「晴明ぶっ倒して、この国、この時代俺様が守ってやるよ。あのクソ鬼どもぶっ殺さないといけないし」
ライコウは熱く語った後、ミナトが聞いた。
「あのーちょっとお聞きしたいですが・・・それってボクの体でやるんです」か?・・・やるんでよね」
「あったりめーだろ! それ俺様の
「ライコウの封印も解け、酒呑童子までも復活しているとすれば、残りの四天王や神鬼も現代にいるってことだよな」
タクマが紅龍に聞いた
「そういうことになるじゃろう」
「レイナ、五行の方で情報ないのか?」
「一人あるっちゃあるんだけど、ちょっと厄介で・・・」
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