第21話 綱の宿命
新神戸駅に着くと、迎えの車に乗り込み淡路島に渡った。
この地には伊弉諾尊が祭られている日本最古の神社があり、ここに『伊邪那岐』本部が置かれている。
タクマは宮司に連れられ本殿の地下へ複雑に交差する廊下を進み向かっていた。
ここに来るのは初めてのはずだったが、何故かそのは廊下の構造は分かっていた。
1つの扉の前に鮮やかなグリーンの
その女性の名は
部屋に入ると、そこは畳で言うと百畳もあるかの広い部屋。その奥に上段の間の如く一段高い所に着座していた。
彼らが始まりの人間『伊邪那岐』であった。
「たしか8人のはず・・・しかしこいつらの威圧感ハンパねぇ・・・」
タクマは彼らの放つ威圧感に耐えながら、じっと前を向いていた。
「お待たせいたしまして申し訳ございません。こちら渡辺綱の躯である堂本タクマでございます」
三翁がタクマを紹介した。
「ほぉー。君が
「綱が転生してからどれぐらい経つのか?」
「18になります。初めて転生したのはたしか5才か6才の頃です。小さかったもので記憶が曖昧です」
「おーっ」
一同声を上げた。
「綱の転生した躯では、ここ千年で一番若いのぉ」
「何のことだ? 俺の前にもツナは他の人間に転生してるってことか? ツナは何も言ってないぞ」
タクマはブツブツ言った。
「あれ?知らんかったっていう顔だね。ならば教えてやろう。よく聞くんじゃぞ。1回しか言わんからの。ハッハッハ」
「自己紹介忘れとった。我の名は石折(イワサク)と申す。」
石折は話し出した。
しかし
この躯は守りし人により守られ続けていた。この守りし人こそ
渡邊綱はライコウと共に黄泉の国へ封印されたが、『伊邪那岐』の力により魂は封印されず、選ばれし躯へ転生し続け
「ところで、お主が綱の躯ということは、
タクマは勘が鋭く一瞬嫌な予感がした。ここは答えない方が良いと。
「いいえ、思い当たり節はありません。そのような話も今初めて聞きましたから」
「それが俺の運命ならば、いずれ出会うことでしょう。その時はお伝えいたします」
「そうか・・ ではそうしてくれ。待っとるぞ」
「ところで、
「はい。我が弟のミナトはその躯でした」
「奴は、味方にしろ敵にしろ、危険な奴だからくれぐれも見張っていてくれ」
「はい。分かりました」
タクマは部屋を後にした。
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