第19話 記憶

タクマは世に蔓延る魑魅魍魎を退治している『伊邪那岐』という組織に属し、

その中でも、『五行陰陽師』と名ずけられたた倒鬼部隊の東の管轄を治めていた。


12時09分東京発博多行のぞみ31号。タクマは『伊邪那岐』本部から招集を受け西の地へ向かっていた。


新幹線が静岡県に入り、窓から富士山が見えてきた頃タクマは断片的に残るツナの記憶を探っていた。


ツナはタクマに過去のことは多くは語らず、タクマも必要以上のことは聞こうとはしなかったが、タクマにはツナが転生したときに残す過去の断片的な記憶があった。


タクマそのの記憶を探っていた。。


--------

時は平安時代

八閻山と呼ばれた鬼の一族が世を乱し魑魅魍魎が人々を恐怖に陥れていた。

それに対し、人間は『退魔の命』を受け神の術を授かる『伊邪那岐』と呼ばれる退魔師と共に長きに渡る戦いを行っていた。


長きに渡る戦いにより、双方の血で空は淀み、土地は腐り、草木は枯れ、

全ての生き物は生きるすべを失い、世は終焉に向かっていた。


神鬼と呼ばれた最強最悪鬼士『酒呑童子』率いる神鬼四天王と、

最強退魔師『安部清明』と最強戦士『源 頼光』率いる頼光ライコウ四天王の戦いは終わりが見えず自体は泥沼化していた。


根絶の危機に陥いる事を愁えた互いの『おさ』は、

『密約』による停戦を話し合った。


一族存続を守るため、

鬼の一族は『酒呑童子』とその神鬼四天王を、人間は『源 頼光』と頼光ライコウ四天王を、

黄泉の国へ封印し、これを休戦条約の証とした。


しかし、その密約には頼光四天王の一人である渡辺綱わたなべのつなの裏切りがあった。

---------


タクマは理解できなかった。あのツナが仲間を裏切ったことを。


伊邪那岐』に出向くのもその真意を確かめ目的でもあった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る