第2章

第18話 新しい生活

餓鬼との闘いの翌日、ミナトとタクマは自宅の居間にいた。


旅館にあるような、横長の年季のの入った座卓に向かい合うも、気まずい雰囲気が

流れていた。業を煮やしたタクマが話だした。


「お前、傷の具合はどうなんだ?」


「えっ!」


ミナトは慌てて餓鬼にかまれた左腕を押さえて確認するが、腕一本引き千切られてもおかしくない

ほどの傷が、完全に治っていた。


「タクマ兄ィ、聞きたいことが山ほどあるんだけど、いったい何がどうなって、何が起きたのか教えてよ」


「あの化け物とか、しゃべる白いモヤっとした魂みたいな奴とか、転生とか・・・」


「もう、頭の中がごちゃごちゃで、おかしくなりそうだよ」


ミナトは今にも泣き出しそうであった。


「お前、『古事記』って知ってるか?』


「バカにするなよ!ぼくはこれでも神主のはしくれだよ。それぐらい知ってるよ!」


「昔、いろんな神様がいて・・・えーっと・・あっそうだ!伊邪那岐と伊邪那美っていう神様が

国を作って・・・それから・・・」


「OK!そこまでわかっていれば俺が教えることはない。あとはこの本読んどけ!」


その本のタイトルは『マンガ 面白いほどよくわかる!古事記』であった。


「それと、しばらく戻らないからツナのことよろしくな」


と言いタクマは部屋出て、バイクで立ち去ってしまった。


「まったく!いつも勝手なんだから・・・」


「おーい ミナトー! こっちに来ていっしょに遊ぼうよ」


それは、白いモヤとしてツナとライコウの魂であった。今後はツナとライコウと呼ぶことにする。


彼らは、魂の状態だと精神年齢が小学校低学年レベルであった。魂は純粋ということなのかもしれない。


「あのー ぼくはお二人を何と呼べばよいでしょうか?」


「ツナでいいよ」「俺はライコウでいいよ」


結局タクマから何も聞き出せなかったミナトは、この2人の魂としばらく過ごすのであった。


「この人たち、何食べるんだろう?」


ミナトは自分の生命エネルギーが吸い取られることをまだ知らなかった。



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