第16話 威光

「ゲゲゲ!『みことの躯』に魂がやどった・・」

「これは最高の美味だ!」


餓鬼はライコウに大口を開けて向かっていった。


「『伊邪那美の躯』ともども喰らってやる!!」


ガキッとライコウの腕に噛み付く餓鬼。


「ガ・・!?あれ?喰えない・・・??」


「・・・」


ライコウは微動だにせず平然としている。


餓鬼はライコウの腕をガジガジと噛むが、歯が通らない。


「・・・『餓鬼』如きが、俺様を知らねぇとは万死に値するぜ」


ライコウの顔にピシリと顔に稲妻が走るとすぐさま刀に稲妻が走る。


「懺悔の台詞は地獄で吐きな!」


「童子切り 参の威光いこう


雷牙繚乱らいがりょうらん


餓鬼を一刀両断するライコウ。


雷鳴と共に爪痕の残像の如く稲妻と桜吹雪が舞う。


「がああああああ!!!」


餓鬼が稲妻で崩れていく。


餓鬼の角が砕け、中から『うじ』が出てくる。


蛆が燃えて、消えていく。


餓鬼の身体が崩れ、その肉片の中に男が倒れている。


ライコウはその男を見て、


何人なんぴとも、」


「俺のいかずちからは逃げられねぇ」


自分に酔うように、強さを誇示し笑い遠くを見つめる眼差しのライコウ。


「あ・・・ああ・・・」


苦しそうにしている男にタクマは駆け寄ると同時にスマホが鳴った。


「間に合った!」


男の身体に携帯を置くタクマ。


男の身体がスマホから出てくる呪文のような帯にまとわれる。


「ナイス、レイナちゃん!ぎりぎり間に合った!」


『一度鬼に憑かれた人間は、浄化しなければ死んでしまうからね』


ツナはほっとしたようであった。


タクマは男を抱きかかえながら言った。、


「ああ・・・助けられてよかった」


「それにしても、あの『餓鬼』を一撃かよ・・・」


「これが・・・」


「これがライコウ・・か」


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