第15話 覚醒

クミが桜吹雪の中美しく舞う。


その流れるような動きに合わせ、どこからともなく風が吹く。


桜の花びらは風にそって、クミの周りを舞っていた。


枯れ木が勢いよく花を咲かせていく。


餓鬼に生命エネルギーを吸われ枯れ落ちた木々や草花が命を吹き返す。


『タクマ!この力は!?』


ツナが問う。


「クミの奴『勾玉』無しで舞いやがったな!?」


タクマの嫌な予感は当たってしまった。


「この力・・『伊邪那美』・・・!」

「『国生み』の力・・・!!」


「ゲゲゲ!!ここに有るのか!『伊邪那美の躯』!!!」


目的を見つけたように高笑いをする餓鬼。


「いかん!奴にばれた!!」


「ふはは!どこだ!どこだ『伊邪那美の躯』!!」


その時まばゆい光が餓鬼を照らす。


餓鬼は視線を向けたところには両腕を前方に伸ばし刀を持ったミナトの姿。


「行かせない・・」


刀と鞘の隙間からまばゆい光が漏れる。


「みんなの所には、絶対に行かせない!!」


刀を構え、力を込め抜こうとするミナト。


「うおおおおおお!!」


ミナトの顔にピシリと電撃が走った。


『抜ける!』


ツナが刀を見つめる。


「引き抜けミナト~~!!」


叫ぶタクマ。


おおおおおおおお!!!!」


ミナトの身体が電撃で覆われていった。


ミナトの髪が金色に光り、長くたなびいた。


その姿は稲妻をまとう。


刀徐々に引き抜かれて行き、さらに周囲に稲妻が伸びる。


金色の光りに包まれたミナトに、怒号のような雷鳴とともに雷が落ちた。


あまりの眩しさ、そこにいた者全員が目を覆った。


光の中に、抜かれた刀を構えたたずむライコウ。


その髪が金色に光りたなびき、全身に稲妻を纏っている。


『封印が解けた!』


ツナは興奮して言った。


「これが・・・」


タクマはその神々しい姿に目を奪われた。


「くくく・・・よくやった小僧」


「褒めてつかわす!」


千年の時が経て、ライコウ再び大地に着く。

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