第13話 絶望感
みんなはお前が守れ・・・ミナト!」
「タクマ・・・」
「『願うために通る場所・・』お前の一番好きな場所だろ?」
「嫌いじゃねぇぜ?お前の言葉」
「ここに来た人達の」「『願い』を守ってやれ!」
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ミナト、タクマを待ち、間を繋ぐために頑張って歌っているクミ。
クミの舞を楽しみにしている観客は、クミが踊らないことに苛立ち初めていた。
「・・・なんか酷いね今年の祭り」
「全然『神楽の舞』見せないじゃん」
「どうせ『エセかん』がやってる神社だろ?」
「ご利益があるわけねぇよな」
口々に神社の悪口を言う人々。
「てか、ここに来る意味なくね?」
「だよな~」
人々の声が聞こえ、震えるミクは歌をやめてしまう。
その姿を見てマユリは呟く。
「限界だな~。何やってんだ二人とも・・・」
観客の罵声は続いた。
「『舞』も見れないんじゃ何の祭りなんだよ」
「もう終わってるよな・・・この神社」
「アタシ普段来ないし」
「だよな~」
「も・・もうすこしだけ・・・待ってください」
震えながら小さな声で言うクミ。
その時、ステージににペットボトルが投げられたペットボトルがクミに当たる。
投げつけた若物がからかうように言った。
「もったい付けてねぇで踊れよ!」
「さっさと踊れ~!」
マユリはキレそうになった。
「何やってんだテメエ!」
「あ?あっちがワリィんだろうが!」
「そうだそうだ!」
「踊れ~~!」
「女の子に物を投げつけてそれでもテメエ男か!」
会場設営を手伝ってくれた地元の男たちが若者の胸ぐらを掴む。
もう、舞どころではなく、祭り会場で殴り合いの喧嘩が始まる。
「やるって行ったのはそっちだろうが!」
「ちったー待てねぇのか!」
「サイテー」
「おお、喧嘩だ喧嘩!」
「コッチのほうが面白れ~!」
「やれやれ~!」
色々なところで喧嘩が始また。
マユリはクミの手を引いて。
「もういい!コッチ来な!」
「こんなヤツらのためにアンタが踊んなくていいよ!」
「ミナト兄ィ・・・」
うつむき、唇を噛む表情のクミ。ミナトの言葉を思い浮かべていた。
『夢を願うために通る場所・・・』
『その夢の手伝いが出来るなんて嬉しいじゃないですか!』
うつむき、唇を噛む表情のクミ(目は見せない)。
「ぐわぁ!」
餓鬼の攻撃を抑えきれなくなってきたタクマ。
「タクマ!!」
ミナトは叫ぶ。
「何やってんだ!さっさと行け!」
傷つきながら、ミナトに言い放つタクマ。
「クソ!!何で抜けないんだよ!」
「早く抜けろよ!!」
必死に刀を抜こうとするミナト。
『無理だよ。お前にゃ才能がねぇ』
『俺は来世を待つからよ。それまで力をつけとけ』
『ま・・それまで、人が生きてりゃいいがな』
ミナトは悔しかった。
「なんで・・ なんで・・ ぼくはいつも何にもできないんだ・・」
「このままじゃ、タクマ兄ィもクミを街のみんなもみんな死んじゃうじゃないか」
「・・・クミ」
「ミナト兄ィ・・・」
二人は同時にお互いを思いあった。
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