第11話 ライコウの躯

「ガッ ガッ ウギュー ギギギィィィ」


餓鬼の鋭い爪による攻撃が続く。


腕に大怪我を追っているミナトを守りながら辛うじて攻撃凌いでいるが、


タクマの体力も限界に近ずいてきた。


「ガシッ」


餓鬼の爪攻撃。『刀』で受け止める。


「フンっつ 痛っ!」


「走れー! ミナト」


受けた衝撃でタクマの右腕の骨にひびが入ったようだ。


「抜け!ミナト!」


「その刀を抜いて『封印』を解け!!」


「だから、この刀錆びてて抜けないんだって!」


「ち!」


蹴りを入れて、餓鬼をはじくタクマ。


「貸せ!俺が封印を解く!」


『!!』『ダメだよタクマ!』


「ビリビリビリ!」


刀に触れようとするタクマに電撃が走る。


『!!』『ダメだよタクマ!封印を解くのは『魂の躯』だけだ』


『『ツナ』の魂である僕が、タクマにしか『封印』が解けなかったように』

『『ライコウ』の魂を開放できるのは、『ライコウの躯』として生まれてきたものにしか出来ない。』


『つまり、この子が『ライコウの身体』として転生した体』


『『ライコウの躯』なんだ!』


ツナが叫んだ。


『てこった。わかったか? 小僧』


ライコウがミナトに言った。


『それより、さっきからよくしゃべるそのモヤモヤしてるお前は誰だ?』


『俺様のこと知ってるみたじゃねぇか?』


『千年経っても有名人は辛いねぇ。ガッハッハッハー!』


ライコウが馬鹿笑いする。


『ちゅーか。あいつ『ツナ』じゃね?』


『おーい ツナー 久しぶりだなー 俺だよ 俺 ライコウ様だよー!』


「え?何が何なの?」


『だから、お前が俺様の『封印』を解かねぇと、俺は出れねぇんだよ!』

『認めたくねぇけどな!』


『それもこれも、お前が『力』がねぇからだ!』


「また才能かよ・・・」


「どうすりゃいいの?」


『お前が刀を抜け。それだけだ』


「・・・」


『どうやら『ツナ』の野郎は、『覚醒』するための力が足りてねぇ・・てか、残ってねぇのか?』

『あのタクマって兄ちゃんも見せてはいないが体がボロボロだ』


「他は? 他にはないの?」


『無ぇよ』


『出来なかったら、この兄ちゃんもお前もこの『餓鬼』に喰われるだけだ』


『そして、ここいらいったいの『生命』が喰われ』


『残るのは人の屍と荒れた荒野になるだけだ・・・』


「ここいらって?」


『さあ、『餓鬼』の腹具合によるが、2,3百は平気で喰うんじゃねぇか?』

『都合よく祭りをやってる気配もあるしな』


『ここら一体白骨遺体が転がり、木々は枯れ、荒野になるだろうな』


「そんなぁ・・ みんなが・・・!?」


「ミナト!!祭りの客とクミを連れて、逃げろ!」


「ここは俺がなんとかする! 俺が護る!」


タクマがミナトに叫ぶ。


「でも・・!」


「コイツはあらゆる『生命の生気』を喰らう『餓鬼』だ!」


「祭り会場まで行っちまったら、手遅れになる!」


「タクマは!?」


「言ったろうが、お前らを護るってよ」


「クミをヤツらに喰れちまったら、みんなが楽しみにしてる『神楽の舞』も見れなくなっちまうだろ?」


「みんなはお前が守れ・・・ミナト!」


「タクマ・・・」


「『願うために通る場所・・』お前の一番好きな場所だろ?」


「嫌いじゃねぇぜ?お前の言葉」


「ここに来た人達の」「『願い』を守ってやれ!」

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