第10話 確信


「グォォォォ ミシッ ミシッ グルルルー」


男の体中の皮膚が裂け、肉片が飛び散る。


その裂け目から脱皮のごとく内部から緑色の異形の肉の塊が裂け出てくる。


「うわぁー 何なんだあれはー!」


ミナトが叫ぶ。


緑の肉塊は、徐々に形を変える。2メートルを超える巨体。異常に発達した下半身。


背中にはたてがみの様な白い毛はあり、腕は地面に着くほど長く、手足には巨大な


鋭い爪、頭には1本の角がある。


餓鬼は両手を振り下ろし地面を叩きつけると、地面がえぐれる。


辛うじて避ける二人。


「さっきの男の人はどこにいったんだ!? あの緑のやつに食べられた????」


「違う。あの男は邪気だったんだ。周りの『気』を喰らって、成長しやがった!!」


『タクマ!刀を抜いて!!』


「ちょっと待てツナ!ミナトの前で『覚醒』出来ねぇ!」


「それに、まだレイナちゃんに力を借りないと・・・」


『違う、弟が持ってる刀!』


「え?」


タクマはミナトを見る。ミナトはあの刀を抱えていた。


「え?何独り言言ってんだよタクマ兄ィ?」


『タクマ、あの刀、間違いないよ!』


『『頼光ライコウ』の持っていた刀だよ!』


「え?何?」


理解できなタクマ。


僕達が探していた、『ライコウ』だ!!』


餓鬼の異常なほどの跳躍力で一気に距離を詰め、鋭い爪を振り下ろす。


ミナトをかばい、抱えて避けるタクマ。


「うわ!」


ミナトは何が起きたのか訳がわからない。


「ミナト!お前その刀どうした!?」


「何でお前が持ってる!?」


「さっき祠の下で見つけたけど?」


「もしかして、この喋る刀持って来たらまずかった!?」


「・・・俺の肩に何が見える?」


「土とか葉っぱとか付いてるよ」


「違うよ。しゃべるモヤっとした変なの見えるか?」


「こんなときにまた『才能』の話かよ!」


『変なやつって何だよ!』


「・・・相変わらず『ツナ』は視えてねぇ!」


『でも、間違いない。あれは『ライコウ』だよ』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る