第7話 才能、才能って

『俺の名は『源 頼光(みなもとのよりみつ)』


『『諱忌み名』は雷人(ライコウ)』


『刀を抜け小僧』


『そして返せ・・・俺のからだ


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その時境内の祭りの舞台会場は人が溢れ、今や遅しと堂本クミの『神楽の舞』を待ちわびていた。



楽しみだな!『神楽の舞』!」


「年に一度の楽しみだからね~」


「あれを見れると不思議と元気になるからな!」


「早く始まんねぇかな!」


会場で待つ人々の話声は聞こえる。


なじゃなか戻ってこないミナトを待つクミは、


「どうしよう!皆もう集まっちゃってる!」


「ミナト兄ィ早く『勾玉』を持って来て!」


マユリはクミに、


「遅いねぇ、ミナト君・・・」


「もう踊っちゃえば?」


クミは答える。

「だからちゃんと正装しなきゃ舞っちゃダメなんです!」


一台のバイクが境内の裏に止まり、タクマが戻ってきた。


タクマの顔には新しくできたと思われる傷がいくつもあった。


「何やってんだクミ・・?」


「『神楽の舞』やんねえのか?客待ってるじゃん」


「タクマ兄ィ!」


「わたしが清めの場に『勾玉』忘れて、ミナト兄ィが取りに行ったんだけど・・・」


クミが心配顔でタクマに言った。



「そうなの真面目君戻ってこないのよ~」


とマユリ。


「あいつ、どんくせぇからなぁ・・・」


なかなか舞が始まらないことに集まった人から声が上がる。


「お~い!クミちゃんまだか~?」


「『神楽の舞』の時間だろー?」


「どうしようタクマ兄ィ・・・?」


それを聞いたクミは泣きそうであった。


「仕方ねぇ、俺が見てくるから待ってろ」


「たく・・・何やってんだよ。ミナトの奴・・・」


タクマは清めの場に向かった。



「『命(みこと)』・・・!『命(みこと)』の躯!!」


祠が崩れた穴の中に男が飛び降り、襲ミナトを襲う。


「うわああああ!!」


男が襲ってくるのを辛うじて避けるミナト。


男が誤って噛み付いた岩は砕けた。


「うわ・・健康的な歯ですね・・・!」


岩を見て苦笑いをするミナト。


「がああ!」


「ほめてもダメですか!?」


追いかける男、逃げるミナト。


『刀を抜け小僧!』


『そして返せ・・・俺のからだ


「!!」


声に反応するミナト。


『この忌々しい封印を解き、俺がその『餓鬼』を刻んでくれるわ』


「さあ!刀を抜け!」


声しか聴こないミナトは恐々に、


「な・・何なんだいったい!?」


「何で『刀』が喋ってるんだ!?」


その間もミナトは男から必死に逃げる。


「変な人に追っかけられるし、刀は喋るし、俺寝ぼけてる!?それとも厄日か今日は~~!?」


走りながら叫ぶミナト。


それを見たライコウは、


「は!?」


『な・・・まさかお前・・・』


『俺様が見えてねぇのか!?』


ミナトは声のする方を見て、


「え!?誰か他にいるの!??」


「すみません!警察呼んでくれませんか!?」


「お・・・お前・・」


『お前その格好は飾りか!?』


『神主やってんなら『神通力』とか


『霊力』とかあんだろ普通!!』


怒りに震えるライコウ。


「え!?俺ちゃんとした神主ですよ!?」


『だったら何で俺様が見えてねえんだよ!』

『才能がねぇんじゃねぇか!?』


「才能才能って!才能無きゃ仕事しちゃダメなんですか!」


『神職が語ったらダメだろ!』


「みんな才能才能って・・・」


歯を食いしばるミナト、逃げ場がなくなり、男を迎え撃つ覚悟をする。


「人に文句ばっかり言って、自分じゃ何もしない奴の方が才能無いじゃないか!!」


「助けることも出来ない奴が偉そうに言うな!!」


本音をぶつけるミナト。


ミナトは男に殴りかかった。


『言ったな小僧・・・』


ギリリと歯軋りを立てるライコウ。


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