第6話 諱は雷人 

勾玉を探しに境内の裏手の林の中へ入って行くミナト。


木々が多い茂り葉を掻き分けて行く。


木々が開け、大きな岩に囲まれた空間が現れる。3メートルぐらいの岩の崖から


滝が流れている。ここが『禊ぎの場』である。



「ホントは巫女みこ以外、入っちゃだめなんだけどな」


「えっと、勾玉まがたまは・・・」


水辺のほこらの上に『勾玉のペンダント』が置かれている。


「あった!」


パンパンと手を打つミナト。


「巫女が忘れたので、禁を破り入らせて頂きました」


「申し訳ありません」


と、祠に謝りを入れるミナト。


そこに、かすかな声が聞こえた。


『・・・の匂い・・・・』


「え?」


「なんか声がした?」


ミナトはあたりを見回した。


「匂い・・・」


再びミナトの後方から聞こえた。


「え?」


振り返るミナト。


みことの・・・匂い!」


突然ミナトの後ろに男の飛び掛ろうとする姿。


「うわ~~!!」


ミナトが叫ぶ。


男に襲われる飛ばされた拍子に、祠にぶつかり壊してしまう。


「痛てててて・・」


「ちょ!?なんですか貴方!?」


「ここは一般の人は入っちゃ駄目な所ですよ!」


男が覆いかぶさるのを両手で抑えるミナト。


みことの匂い・・・」


みことの匂い・・・ハァ ハァ・・」


男は何度も繰り返し、興奮しているようであった。

身体が「ミチッ」「ミチッ」と、音を立てる。


「喰わせろ・・・『みこと』のからだ)」


男の身体が変化して、異形な感じになる。


「うわああああ!」


男の変化に怯えるミナト。


「ガシャ!」


ミナトが倒れこんで、壊れた祠の土台部分が音を立てて崩れる。


「ドシャ ゴボォォォ」


地面に大きく穴が空き、祠ごと穴の中にに落ちるミナト。


「どわあ!!」


「いてて・・・!」


「何なんだいったい!?」


そこは、大きな洞窟のような大きな空間であった。


「こんなところに、こんな場所があったなんて知らなかった」


みこと・・・」「みこと・・・」


穴から覗く男


「ひ・・・!」


ミナトは恐怖で声も出なくなっていた。


『何だ・・・やっと来たかと思えば、『餓鬼』連れか・・・』


洞窟内に響く声。


「今度は何だよ!、誰? 誰なんだよー!」


半泣きのミナト。


声が続く。


『ち・・・!『千年』も転生させたから、記憶が飛んでやがる。』


『それに、泣き虫ってどういうことだ??』


『仮にも俺様の躯<<からだ>>だろ!!』


ミナトはつぶやく。


「千年・・・?」「『転生』・・??」


ミナトの前方にうっすらと男の姿が見える。


髪は長くなびき。姿は元は白色で綺麗であったはずだが、汚れとボロボロの強装束こわしょうぞく


片膝をついた様子で座り、鋭い眼光でミナトを見ている。


『よーく耳をかっぽじって聞きやがれ』


『俺の名は『源 頼光みなもとのよりみつ


『『忌み名』は雷人ライコウ


ライコウは岩に刺さっている古びた刀を掴み、


『刀を抜け小僧 抜けー!!』


ライコウが叫ぶ。


「え・・・?」


ミナトは訳が分からず、動くことが出来ない。


ライコウは続ける。


『そして返せ・・・俺のからだ


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