第3話 タクマとツナ
くたびれた境内。
参拝客を増やしたいミナトは独り言が多かった。
「中々上手くいかないな・・・」
「結局「クミ」の舞じゃないと、うちに参拝してくれる人は少ないんだよな~」
「本殿の修繕したいけど、お金がな~・・・」
「・・・落ち込んだって仕方ないか!」
「みんな楽しみにしてくれてるんだから、掃除頑張って準備しないと!」
そこに「クスクス」と笑う声が聞こえる。
「ん?」
声が気になり振り返るミナト。
本殿の中から「恋愛成就だって~」「思ってることがかなう~」
などと声が聞こえる。
「じゃあ思ったことやっちゃおう~」と聞き覚えのある男性の声
「いやんw」と女性の声
「誰かいるの?」
扉を開けるミナト。
目に飛び込んでくるのは、肌をあらわにした女性の体
ミナトは驚き、 顔を真っ赤にした。
「ミナト~」
「この『おみくじ』合コンで使っていい?」
そこにいたのは、上半身裸で女の子といちゃついているミナトの兄、堂本タクマであった。
ミナトは赤面しながらあきれた顔で
「タ、タクマ兄ィ!! 本堂で何やってんの!?」
「何って・・・ナニ?」
「この娘は、マユリ。いいおっぱいしてるだろ?」
「ヤダ~タクマ君のエッチ~」
マユリのおっぱいを揉みながらニヤニヤしながら答えた。
マユリはミナトを見て
「この子かわいい~。何?コスプレ?(白衣のこと)」
「俺の弟~。ここの神主やってるの」
「ここが家って本当だったんだ!」
「タクマ君罰当たりなんだ~~」
「言いのいいの。どうせ人なんか来なかったろ?」
と、タクマ。
「よくない!ちゃんと服着てください」
ミナトが口を挟んだ。
マユリは
「真面目君だ~w」
「そ、こいつ真面目なの」
とタクマ。
「相変わらずだねぇここは」
「参拝客もねぇし、いっそ改装してラブホにしたほうがご利益あるんじゃねぇの?」
「そしたら儲かって、せせこましく金の心配なんてしなくてすむじゃん」
服を着ながら言うタクマ。
ミナトは少しあきれた感じで
「神社は借り物なの!」
「神主を継ぐ奴がいなかったら、ここを返還しなきゃいけないんだよ!」
「そしたらホームレスになるだろ!」
※神社の跡継ぎが居ない場合は本山から別の宮司が来ます。
当然そこに住んでいた家族は神社を出なくてはいけません。
「フラフラしてたまにしか帰ってこないタクマと違って、妹のクミにそんな生活させられないだろ?」
「あ、忘れてた」
と、思い出したように服をまさぐるタクマはドサッと、札束を床に放り投げた。
生活費とお前とクミの学費。」
「こんだけありゃしばらく足りるだろ?」
ミナトは
「・・・また傷作ってるじゃん。」
「こんな大金ヤバイ事してるんじゃないよね?」
「それ職業差別?神主さんw」
「金のことなら心配すんな,俺が稼いでやるからよ。」
「大体ミナトは『神主』なんて『才能』ねぇんだからよ」
「家の事気にせずに好きにやっていいんだよ」
「才能って・・・俺は頑張ってるよ!」
才能と言う言葉にカチンと来て言い返すミナト。
「わかってねえな~」
「わかってないって何が?」
戸惑う表情のミナト
タクマ値踏みするような眼差しでミナトを見る。
「・・・視えて」「ねぇだろ?」
タクマの肩に白いモヤの固まりが浮いている。
「視えてって・・・何が?」
ミナトには何も見えておらず、言っている意味がわからない。
白いモヤっとしたものに、「ほらなと」言い、ため息をつくタクマ。
そこにタクマのスマホが鳴る。
「おっと、行けねぇ。仕事かな?」
「え~~。遊びに行くって言ったじゃん」
「ワリィワリィ!」
「また、金がたまったら寄るわ」
ミナトはタクマに
「クミに会ってかないのか?」「心配してたぞ?」
「夜の『氏神祭り』には顔出すよ」
「神社のことはどうでもいいけどアイツの『神楽の舞』は楽しみだからな!」
すかされている感じがして納得がいかないミナトだった。
「あ、そうそう。そいつ童貞だから食ってもいいぞw」
タクマはマユリに言い、バイクを止めている駐車場へ向かった。
「は!?」
驚くミナト。
誘うような目つきマユリ子は
「童貞なの?」
「いやそれは・・・」
シドロモドロになるミナト。
「ねぇねぇ!坊主って精力強いって本当?」
「いや!俺は『坊主』じゃなくて『神主』!」
「よく見ると本当にかわいいわね。お姉さんがいいことしてあげる♡」
マユリはミナトのぼ白衣を脱がそうとした。
「いや、仕事があるから!!」
といいつつも半分嬉しそうなミナト。
そこに、クミが現れる、
「ミナト兄ィ!タクマ兄ィの声がしたけど帰ってるの?」
「うん!いや!ちょっと待って!」
あわてるミナトの前でクミは。
「じゃ~~ん!」
「見て!見て!今日の『神楽の舞』の衣装!」
(クミ登場。普段着に上から巫女の着物を羽織っている)
(胸には『勾玉のペンダント』)
そこには、服の乱れたマユリに押し倒されて、服がはだけているミナト。
「・・・」
顔を真っ赤にするクミ。
マユリは
「誰?このかわいい子?」
「妹の堂本クミです・・・」
「誰ですか、ミナト兄ィ・・・」
(赤面してワナワナ震えながら聞くクミ)
マユリは
「ミナト兄ィのSEXフレンド♡」
「は!???」
「セッ・・・セックス!」
「ミナト兄ィの バカ~~~~~~~~~~!!!」
バチンと言う音が境内に響き渡る。
「うが~~~!!」
タクマが遠目で電話をしながら笑っている。
「ケラケラ!久々の実家は面白れ~な!」
電話の声
『何の話?』
「コッチの話wそれで?俺久々の休暇なんだけど?」
バイクにまたがり電話をしているタクマ。
電話の声
『『五行陰陽師』に依頼が来てるの』
『近くだしすぐ済むと思うからお願い』
「・・・『レイナ』ちゃんのお願いじゃ仕方ないか」
電話の声
『助かるわ』
「夜までには終わらせるよ」
ピッと電話を切るタクマ。
「タクマ・・・仕事?」
白いモヤっとした物が話しかける。それには目と口がついている。
「そうらしい。」
「折角『氏神祭り』に合わせて休暇取ったのによ」
白いモヤは続けた。
「『神楽の舞』は気をつけないと、『ヤツら』に気づかれるよ?」
「そのためにも『あの人』を早く見つけないと。」
「あの人の強さは、僕が一番よく知っている。
「彼を見つけることが、今後ヤツらと戦う鍵になる」
タクマは白いモヤに向かった
「分かっているよ、ツナ。でも彼がいなくても『五行陰陽師』《オレら》がいるだろ?」
そのモヤっとしてものはツナという名前のようだ。
ツナはミナトに何かを感じたようで。
「まあね」
「・・・君の弟に『力』があれば、君が苦労する事ないのにね」
「仮にも『神主』だろ?」
「
と言い、タクマはバイクで立ち去った。。
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