第70話ニタフィーの野望

「ん……んむ……んっ……む……」


ーー今日は色々あった。


登校しながら自己紹介とマァムさんの事を考え、自己紹介しながらマァムさんの事を考え、授業中にマァムさんの事を考え、仕事中にマァムさんの事を考えた。

そして今もマァムさんの事を考えている。


マァムさん!「そろそろイきそう」です!


ドクッ! ドクッ!


あースッキリした。


「兄さん、いま別の人の事を考えてませんでしたか?」

カナンがゴックンし終わってから怒り気味に話しかけてきた。


「まさか。僕がそんな失礼なことするわけ無いだろ?」

マァムさん以外の人のことを考えることなど出来るわけがない。


「……ならいいですけど。」

カナンはまだ不満そうだ。

ちなみにマァムさんは現在身体を洗っている最中だ。

事件はいつもマァムさんのバスタイムに起こるのだ。


「戻りましたー。あれ? どうしたんですか?」

マァムさんが戻って来た。マァムさんはいつも三十分以上かけて身体を洗う。


「なんでもないです。」

カナンがマァムさんに不機嫌そうに言った。

最近カナンがマァムさんに対して当たりが強い気がする。反抗期か?


「カナンちゃん、ちょっといい?」

マァムさんがカナンを近くに呼んだ。説教されるのか?


「……なんですか、姉さん?」

カナンはまだまだ子どもだ。大人のマァムさんに敵うわけがないのに、強気な姿勢を崩さない。て、あれ? マァムさんと身長が同じくらいになってない?


「そろそろブラジャーが必要かもね。明日買いに行きましょう。」

カナンの胸は最近になって成長著しい。よくみると、顔も大人びてきている。今の段階でも国民的アイドルグループのセンターが狙えるぞ?


「はい、わたしも欲しいなと思ってました。お願いします。」

しかし、カナンの成長速度は異常だ。このままではすぐに大人になってしまう。需要がなくなるぞ?


「カナンは成長が早いわね。」


「はい。沢山栄養もらってますから。でも、この辺りで一度成長は止まるはずです。」


どういうこと? カナンは不思議ちゃんだったようだ。


ーー


それから少しして眠りについた。

最近はマァムさんが昼の仕事に戻り、夜も居るので僕は一人で横になっている。人肌が恋しい。



ーー次の日ーー


「行って来まーす!」

今日も元気に登校だ。早く帰ってマァムさんに会いたいな。

マァムさんの事を考えていると一日が早く過ぎる。

ほら、もう教室についた。


「おはようございます!」


ーー誰も来てなかった。

帰ったらマァムさんに会えると思いウキウキして登校したので早くついてしまったようだ。


「どっこいセックス」

僕は自分の席についた。


「やぁ、ダイくん。」


ーーひゃあっ!

誰もいないと思っていたのでビックリした。

隣の席の男だ。名前はわからない。


「急に声をかけないでもらえますか?」


「さっきも挨拶したんだが……。キミとは二人で話したいことがあったんだ。」

まさかのホモダチ宣告を受けた。


「すいません、男に興味は無いので……。」


「そう言わずにさ! オレの名前はニタフィー。よろしくな!」

ニタフィーが握手を求めて来た。僕は触りたく無いので気付かないふりをした。


「よろしくです。じゃあもう寝ます。お休みなさい。」

すかさず寝る体勢に入る。


「ちょっと待ってくれ! キミとはオレと同じ匂いがする。悪い話しじゃないはずだ。少しだけ聞いてくれ。」


ーーなんだと!?

僕は毎朝早起きしてマァムさんの下着を身体中に擦り付けて香水代わりにしている。


「おまえ……どういうことだ?」

僕の身体からどす黒い魔力が漏れだしていく。


「待て! 勘違いするな! とりあえずこれを見てくれ。」

そう言うとニタフィーは自分のノートを広げて見せた。


「こ、これは!!」

ノートには学校の見取り図が書かれており、その中を赤い点が動いていた。


「これはオレの特殊魔法『シャドウストーカー』を視覚化したものだ。学校内にいる女子が赤い点で示されている。」


「ほう。」


「事前にマーキングする必要があるし離れ過ぎると感知出来ないが、キミのどす黒い闇の魔力を使えばどうかな?」

聞くとニタフィーくんは魔力量がそこまで多く無いらしい。ただ、新しい魔法を作ることは得意だそうで、僕と組みたいみたいだ。


「面白い。やってやろうじゃないか!」


ーー


僕たちはそれから毎朝早くに魔法の練習と改良を繰り返した。


「つ、ついに成功したぞ!」

登校してきた女子に僕の闇の魔力を放ち付着させる。

するとニタフィーのノートに赤い点が現れた。

そうーー僕もシャドウストーカーを使えるようになったのだ。

それだけではない。僕の覇気の応用で体の動きを検知し、何をやっているかまでわかるのだ。


「あ、こいつ今鼻ほじったぞ!」


「そんなことまでわかるのか!?」

ニタフィーには悪いが体の動きをノートに表現することは出来ない。


「それにしてもこいつケツが少しデカいな。」

体の動きがわかるのであれば体の作りも調べられる。


「どのくらいだ?」


「上から八十二、六十一、九十だ。」

平均よりもスタイルは良い方だ。

ニタフィーはそれを手帳に書き記した。


「あとは盗聴と精神操作魔法だな!」

ニタフィーは鼻の下を伸ばしながら言った。

盗聴魔法はもう少しで使えそうだ。付着させた僕の魔力を介して音の波形を拾うだけだ。


「ところで精神操作魔法何て何に使うのさ?」

僕はニタフィーに質問した。


「オレには夢がある。オレと女たちで自分だけの夢の国を作ることだ!」


「ごめん、そういうのいらないから具体的に言って?」


「……誰もいない土地にオレと女たちで移り住んでハーレム生活を送りたい。」


「なるほどね。」

ニタフィーの夢は理解した。つまり、誰にも邪魔させずに洗脳した女たちとエロいことしたいのだそうだ。


「わかった。特殊魔法を教えてくれたお礼だ。精神操作魔法をニタフィーくんのために使えるよう頑張るよ!」


ーーそれからも僕たちは精神操作魔法を練習した。


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