第67話自己紹介

「マァムさん、カナン、行って来まーす!」


「はーい! がんばってねー!」

マァムさんとカナンが家の事をしながら見送ってくれる。

今日から新しい生活がスタートするのだ。


「まずは自己紹介をちゃんとして、それから友だち百人作らなきゃな。今日は忙しくなるぞ!」


ーー入学式の日ーー


僕は新入生代表として挨拶をする事になった。

カナンのアドバイス通り、学校でやりたいことをそのまま言葉にした。

僕の熱い思いをより多くの世代に知ってもらうためラップ調で語った。

これが予想以上に受けて今では学校中でフリーバトルが勃発している。

おかげで僕も登校してから三回もバトルを申し込まれた。全てお断りしたが。アドリブは苦手なのだ。

ーー国立ホグワッツ専門学校は、専門分野ごとに建物が別れている。

僕が向かうのは魔法学部だ。

僕は魔力は高いはずなのに知識がないため身体強化と覇気しか使えない。強くなるためにも技のレパートリーを増やしたいと思っている。


ーー


「それでは一人ずつ自己紹介をしてくれ。前列右側からな。」

担任の先生と思われる人が教壇に立って言った。

僕は緊張のあまり先生と思われる人の自己紹介を聞き逃してしまった。名前すらわからないが、まずは自分の自己紹介に集中しよう。


「……以上です。」

ーー前の席の人が終わった。次は僕の番だ。


「初めまして。ダイと申します。趣味という程のものではありませんが、繋がりトンボを見つけたら引き剥がす作業をよくしています。正義感といいますか、目の前で公然ワイセツされるととても不快なので。」


「はいつぎー!」

話の途中で先生と思われる人が止めに入ってきた。


「すみません、まだ終わってません。続けますね。特技は指ぱっちんと舌打ちです。昔から覇気が無いと言われ続けてきましたが、最近は威嚇いかくしたり、倒す手段としてよく使います。特に舌打ちは相手を素早く攻撃出きるので使うことが多いです。最後になりますが、ブックマーク、高評価、感想等頂けますと作者が泣いて喜びます。特にフォロー数が千人に達したらマァムさんのスペシャルお色気話を投稿してくれるそうです。こぞってフォローしてください。よろしくお願いいたします。」

僕は無事自己紹介を終えることが出来た。つかみはバッチリだろう。緊張していて他の人の自己紹介は聞いてないけど。


「よーし、全員終わったな! これから一年間仲良くするんだぞ!」

そう言って先生と思われる人が教室を出ていった。

ーー帰っていいのかな?

今日の授業は終わったと思っていたら後ろから声をかけられた。


「ちょっとよろしくて?」

振り向くと長い白みがかった金髪をカールさせた強気そうな女がいた。

その後ろには取り巻きAとBがいる。


「へぇ。」

僕は早く帰りたいという気持ちの現れから、気の抜けた挨拶をした。これから帰ってマァムさんに自己紹介が上手く出来た事を報告しないといけない。


「あなた、新入生代表挨拶をしていたわよね? 名は何て言ったかしら?」


「DJ DEATです。」

ボクのディスクジョッキーとしての名前だ。世界にこの名を広めたい。


「確かダイと言ったかしら? なぜあなたが新入生代表に選ばれたのかしら?」

ーー名前知っとるやん。代表に選ばれたのは僕が入試で一番だったからだ。普通わかるやろ。


「なぜですかねぇ? 入試が簡単だったからですかねぇ。満点だったので。」


「ちょっとあなた、エリザベスさんに失礼じゃありませんこと?」

取り巻きAが言った。


「すいませんでした。何処のどなたか存じませんが、用事があるので帰りますね。ごきげんよう。」


「何をいってるの? まだ授業始まってすらいないじゃない!」

なんと、まだ帰ってはいけないらしい。


「それにね、わたくしが話してる途中に帰ろうとするなんて、あり得ませんわ!」


「へぇ……。」


「あなた、このお方が誰だかわかってますの? マッシュ王国第一王女にして第一王位継承者、エリザベス マッシュモット様でございますのよ!」

取り巻きAが言った。


「ところであなた、その用事はわたくしの話より大事なものなのかしら?」

取り巻きじゃない人が言った。


「僕の大事な人なんです。マァムさん、早く会いたいな……。」


「キッモ!!」

取り巻きAかBが言った。


「そのマァムさんとやらは、どなたですの?」


「エリザベス様、……ゴニョゴニョ……。」


「なんと汚らわしい! 身体を売ってお金を得ているなんて、同じ女として信じられませんわ!」


「おい……てめぇ。いまなんて言った?」

僕の中でどす黒い魔力が高まっていく。


「ですから!売女を同じ女として……ひぃぃっ!」

僕の身体から魔力が漏れだして周囲に広がった。

三人は僕の魔力に触れたとたん、腰を抜かしてしまったようだ。


「あ、あなた!わたくしにこんなことして許されると思ってますの!?」


「あぁ? おまえ、僕の夜のオカズにされたいの? 妄想の中でめちゃくちゃにするぞ?」

三人が青ざめている。


「覚えてなさい! ただではすみませんことよ!」

三人はよつん這いで教室から出ていった。


ーーなんだったんだ? あいつら。

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