第66話代表挨拶

「うーん、なんて言えばいいんだろう。」

僕は今、入学式の新入生代表挨拶を考えている。

なんと受験者の中で一番の成績を残していたようだ。

まぁ、あんな問題全問解けて当たり前だ。なぜ四ヶ月も勉強してしまったのかと今でも思う。


「難しく考えずに、思った事をそのまま言えばどうでしょう?」


「思ったことって?」


「学校でやってみたいこととかですかね?」


「なるほどね。うん、それならいけそうだ。」


「よかったです。いけそうですか?」


「うん。もう先まで出かかってる。」


「いいですよ。 そのまイっちゃって下さい! 」


「うっ!」


ドクンッ! ドクンッ!


「ありがとうカナン! 良いあんが出たよ!」


「ぅん……ゴクン……。お役に立ててこうえいです!」

ーー今日はカナンから合格祝いの特別サービスを受けさせてもらった。

カナえもンにどんなサービスが受けたいかと聞かれたので、僕は『どこでもフェラ』という未来のヒミツ道具が欲しいと言った。

これは何かというと、イきたいときにイきたい場所でイける優れものだ。

今日は朝からマァムさんの目を盗み、カナンにはヒミツ道具になってもらった。

ちなみに今で四回使わせてもらった。


「次は夕食の時に頼むよ!」


「わかりました。任せてください!」


「カナンはいい子だな! 将来はいいお嫁さんになるよ!」

僕のヒミツ道具として使われているカナンはさぞ床上手に成長するだろう。将来の旦那様が羨ましい限りだ。


「はい! よろしくお願いします、兄さん!」


「おう……?」

カナンは努力家だ。そんなに上手くなりたいなんて、もしやフェラリンピック代表選手をめざしているのかな?

ーーそれにしてもカナンの成長はめざましい。テクニックもそうだが最近は妖艶ようえんな顔をするようになった。そればかりではない。ペッタンコだったお胸が膨らみ始めたのだ。最近の子は成長が早いと聞くが、こうも早いとうちの子は大丈夫なのかと心配になる。


「ところでカナン? 今の身長はなんセンチなの?」


「測ってみますね。えーっと、百三十六です。」

マジかよ! ここに来た時から十センチ以上伸びてるじゃん!

ーー僕は愛する妹のために壁に一センチ刻みで印をつけて身長を測ってあげていた。

ここに来た当初は百二十二センチだったので四ヶ月あまりで十四センチも伸びたことになる。


「間違いじゃないの? いくらなんでも大きくなりすぎだよ!」


「そうですか? 兄さんから栄養まんてんのモノを頂いてるからかも知れませんね?」

カナンが僕の目をみながら艶っぽく笑った。


「そ、そうかな?」

ーーヤバい、ムスコが反応してしまった。夕食まで二時間ほど、我慢しなくては。


「よろしければ、いま頂いてもかまいませんか?」

ーーなんと気のきく子だろう。兄さんは嬉しいよ!


「そうだな! 妹の成長のために、兄ちゃんも頑張んなきゃな!」

ーーその時はまだ、カナンの言っている事があながち間違いではないことを知るよしもなかったーー


ーー次の日の朝ーー


「ただいまー。帰りましたー。」


「お帰りなさい、マァムさん。お疲れ様でした。」


「昨日は大変でした。常連さんが一気に詰めかけて来ちゃって……多めにお駄チン頂いちゃいました!」

下ネタを言ったつもりなのだろうが、ボクの心をえぐるだけなのでやめて欲しい……。


「……今日からは僕も働きますから一日くらいゆっくり休んでいてください。」


「ありがとう。そうさせてもらいますね。」

マァムさんは昨日限りで夜の仕事を引退した。

僕がやめるように説得したのだ。

最初は渋っていたが、僕も学業と両立させながら働くと言って了承してもらった。

これ以上は僕の精神が持たないし、そもそもマァムさんが僕らの生活費を稼いでいるのがおかしいのだ。

本来赤の他人である僕らのために身を削るなどあってはならないことだ。

ーー僕はマァムさんを養えるくらい甲斐性のある男になるのだーー

その後僕は冒険者ギルドに行き、良い依頼があったので受けることにした。



ーーそれから一週間後ーー


入学式の式典会場にてーー


「ーー新入生代表、ダイくん。」


「はい!」


ーー僕は今、式典会場の壇上に上がった。

これから僕は新入生代表挨拶をするのだ。

マァムさんとカナンは保護者席から僕を見守ってくれている。


ーー緊張する。

でもマァムさんとカナンが見てくれている。

学校でやりたいことをそのまま言えばいい。

カナンが教えてくれた事だ。

その思いをこの挨拶にぶつける。


ーー何度も練習した。だから大丈夫。


ーーいくぞ!


スゥッ……。


「入学式で 魅せる楽式

格式ばってちゃ わからん学識

楽しみにしてた 学生生活

あの地味なやつも 覚醒せい!喝!

何がやりたいかよりも ナニがやりたいが

今度行こうよ コンドーム持ってyo!

合意の上で 合コン行きてえ

みな兄弟 アナ兄弟

イチ、ニのサン、シで 中出しさん

yeah!」


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