第42話打ち上げ花ビラ 上から突くか、下から突くか

「ごめんなさい! 待ちました……よね?」


「……おそい!」

マイさんが怒っている。


ーー僕は教会を出たあと、約束の噴水前に向かった。

しかし、僕は方向音痴だ。

噴水に辿り着く頃には日が傾き始めていた。


「ごめんなさい、マイさん……プレゼントを選ぶのに時間がかかってしまって……」

僕は嘘をついた。

最初は本当にプレゼントをあげるつもりだったが、マリコさんの件がショック過ぎて忘れていたのだ。

プレゼントなど用意していない。

「……で、そのプレゼントとやらはどこ? それを見てから今後どうするかきめるわ!」


ーーヤバい、どうする?

もしかしたら、僕は間違えてプレゼントを用意しているかも知れない。

僕は身体中を手で触りプレゼントを探した。

ズボンのポケットに手を入れたとき、手に何かの感触があった。

僕はそれをポケットから出して確認した。

手の中には、破れたコンドームがあった。


「なに? それ……」

マイさんがこれをプレゼントと勘違いしている。

しかし、これを使っても本来の機能を果たすことはできないだろう。


「これはですね、」

僕はまた嘘をついた。

「子宝に恵まれる御守りです。産まれてくる子はマイさんに似てきっと可愛いんでしょうね。」

そう言ってゴムをマイさんに差し出した。


「え?」

トゥンク……

マイさんのトキメキの音が僕にも聞こえた。

マイさんマジでチョロい。


「それって……そういう、こと?」

マイさんが瞳をウルウルさせて聞いてきた。


「そう言うこと……です。」

僕のプレゼント大作戦は成功に終わった。




その日の夜

ホテルキャッスルサイドにてーー


「わたし、はじめてだから……やさしくしてね?」

マイさんはやはり処女だそうだ。

噂でむかしアナさんとひと悶着あったと聞いたので、付き合って突きあったのかなと思ったが、違ったようだ。

危うくアナさんのことを「穴兄さん」もしくは「オナニーさん」と呼ぶところだった。


しかし、どうするかーー

僕もシェリーさんとテストマッチしかしたことがない。

そして、マイさんが上になっているところしか想像出来ない。

ここは最初から騎乗位で行くべきだろう。


ーー打ち上げ花びら、上から突くか、下から突くか

誰もが悩んだことはあるのではないか。


上の人の方が自由がきく分腰を突き易い。

しかし、下の人が突いた方が棒がある分効果的である。

騎乗位において腰を突くのは上の人なのか、下の人なのか……永遠の課題である。

しかし、マイさんははじめてなので今回は下の僕が突こう。

そして僕は例の御守りを装着して花びらを下から打ち上げた。

パアンッ

パアンッ

ド、ピュ~~ドピュ

パアンッ!!




ーー僕たちはそうして結ばれた。

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