第6話全てを越えし者

渡邉は言った


この世の物事は、すべからくジャンルというもので括ることが出来るーー


この世には色々なジャンルのAVが存在する。


ロリ、熟女、スカトロ、レイプetc……


渡邉は、自他ともに認める変態だ。

もちろん全てのジャンルで抜く事が出来る。



ーー二年生の時、彼は悩んでいた


どうしても、ゲイだけは理解出来ない。


しかし、ゲイ物で抜く事が出来なければ全てのジャンルを制覇したことにはならない。


学校のトイレの個室で用を足し、そう考えながらウォシュレットを付けた時、彼は気づいた。


ウォシュレットって、気持ちいいーー


彼は気づいた


これはもはやアナルでオナっているのと同じてはないか?


ーーウォシュレットでも抜ける!


その瞬間、彼の目の前にはお花畑が見えたそうだ。



寝ている時は放置プレイ、ご飯を食べる時は食感を性的に変換し、あらゆる日常生活をジャンル分けしてオナネタととらえる。


彼に同性愛の気はないーー


が、性的に興奮するものを増やす事によって苦手なジャンルを克服出来る!!


彼はさっそくアマゾンで野獣の様な先輩が出てくるビデオを購入した。


「なんだ。抜きどころなんて、探せばいくらでもあるじゃないか。」


男達の息づかい、汗の交わるさま、体育館倉庫。

彼は人を超越し、音、動き、場所ーー男たち以外の全ての映像から性的興奮を得て、遂に抜くことに成功した。


彼はアスリートだーー


とてもストイックに自分を上のステージへと高めようと努力している。


それ、ゲイ物をみる必要あった? 等と考えてしまったが、どや顔を浮かべる渡邉をみると何も言えなくなった


ちなみに抜いたその日の夜から渡邉は、精神的に疲労し一週間近く勃起不全に陥った。


そんな彼の事を思えば、シェリーさんはおばさんだが、そんなに顔も悪くないし、ケツはデカいが太っているわけでもない。


何しろ女だーー



童貞はかわいい子で捨てたい。

一生の思い出になるような。


だが、これはいわゆるテストマッチみたいなものだ。


シェリーさんを使ってオナニーするようなものだろう。


ーーだから、大丈夫、いける!!


「渡邉だったら、そういうジャンルだからと簡単に致す事が出来るんだろうな」



「ん? ワタナベとはお前の学友か?」


「はい、努力家で良いやつなんです。彼には追い付けそうもありません。」


僕はいま、村長の家で商人と夕食を共にしている。


先ほどのやり取りで僕も一緒に泊めて貰うことになった。


ちなみにシェリーさんをおまけして貰ったので、代わりの服は貰えなかった。

今は下着姿だ。


どうやらこの商人ーーマリオは、月に1度、ここから一番近い領都から日用品を売りに来るかわりに村長の家に泊めて貰う契約をしているらしい。


勿論、接待等はしてもらえない。

今のご時世コンプライアンス遵守は当たり前だ。


「お前は修学の旅の途中だと言ったな。ここに来る前は何処に行っておったのだ?」


「修学旅行ですか? 東京です。」


マリオは先ほど紹介されたシェリーの他に二人の奴隷を連れているらしい。


喋り方からしてブルジョアかと思ったが、奴隷を連れて商売をする商人は結構いるらしい。

僕のイメージとは違い、むしろ雇用関係に近いものがある。


彼らは年間契約を結び、自分の役割を主人と相談し、それに見合った契約金を受け取ることで奴隷となる。


ーー日本の社畜と変わらないじゃないか


そのためシェリー以外の二人の男奴隷は村人と変わらない麻の服を着ている。


この2人は雑用と用心棒の役割が与えられており、シェリーは炊事洗濯に馬の世話が役割らしい。


「東の都か。ここは王国の西側だから反対側だな。どんなところだ?」


「シンデレラという人の美しい城があり、毎日朝から晩までパレードをしていました。人が多くて入場するのも一苦労でしたね。」


「なかなか儲かっているようだな。そちらの方にも手を出してみるか。」


「それよりもマリオさん。先ほどシェリーさんを一晩貸してくれると言っていましたが、大丈夫なんですか?」


「ん? 大丈夫とは?」


現在、奴隷の三人は別の部屋で休んでいる。


「その、シェリーさんはそういう役割を持った奴隷なのかなって。」


「あぁ、心配入らん。あいつは若い男が好きで、いつも誰か紹介してくれとうるさいからな。領都でも男に貢いでいつも金欠だ。服もボロボロで誰も夜の相手をしてくれんから、今頃嬉しくてそわそわしているだろう。」


「そうなんですね。それではこれからマリオさんと僕は兄弟ですね。」


「その理屈はよくわからんが、私はあいつに手を出した事はないぞ? 私の趣味では無いからな。」


そんなこんなで夜も更けていった。

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