第130話 ウルフの悩み
ラマ国古代研究所では、イルグルが事実を2人に伝えた。
「ニャンじゃと!健太が!?」
「え?健太がピカトーレンに帰った?」
「そうなんです。急な事でしたのでビックリしました。」
「まぁ、国を代表するような仕事をやり始めたんだから、仕方ないわよね・・・」
メルーは意外にも自然な顔であっさりしていた。悲しそうでも、嬉しそうでもない様だ。
「うむ、メルーの言う通りじゃ!」
「あら、師匠までそう思いますか?でも僕・・・やっぱり寂しいですね。」
「ここの研究員をしていたらのう、いずれは上層部に声をかけられ、やがて国を代表する仕事をするだろうと思っていた。しかしまあ、また戻ってくる機会もあるじゃろう。」
「シエル様、健太は今後どんな存在になるんでしょう。」
「・・・さあのう、ラマとピカトーレンが大きく動く気がするわい。」
★
そして、再びピカトーレン王室食堂
「お、お、王女のお前がな、な、な、なんで一昨日リョウと一瞬にい、い、いたんだ?」
「ん〜〜、確かばったり出会って意気投合。そのまま緑に光る正体を探す為に一緒にあそんだんだよ?」
「リョウは?リョウはお前が王女だって知っているのか?」
「知らないんじゃない?言ってないしね。」
ま、まさかこのじゃじゃ馬が王女だったとは・・・と、健太は過呼吸になるくらいに驚いていた。
「ディアネイラよ、そのリョウとやらは一体何処の誰なんだ?」
ウェルザ王が食事を止め、娘に問いかける。
「パパには関係ないけど、リョウは強いウルフなのよ!?」
ディアネイラのこの言葉に対し、ウェルザは眉と鼻にシワを寄せ、テーブルを強く叩いた。
ダン!!
「関係ないなんて事はない!ピカトーレンの国民なら私に教えるべきだろう!一体どこのウルフだ!」
ウェルザ王の威圧は凄まじい迫力があった。それには健太も食事の手が止まる。
(はわわわわ・・・メインディッシュが喉を通らない・・・)
「だから、パパには関係ないって言ってるでしょー!」
「ディアネイラ!!なんだその口の聞き方は!!」
ディアネイラの反発に健太は一瞬空いた口が塞がらなかった。こんな時、エルマならどうするんだろう、そう思い彼女を見るが、至って冷静に黙々と食事をしている。まるでいつもの事だからっ、と顔が答えを出していた。
しかし健太は黙っていられる性格ではなく、ディアネイラに話しかけた。
「お・・おい、じゃじゃ馬・・・もう少しお父さんに優しい言葉でだなあ・・・」
次の瞬間、今度はディアネイラがテーブルを叩く。
ダン!!
「もういい!!ごちそうさま!!」
ディアネイラはそのまま部屋を出て行ってしまった。
ウェルザ王はため息を一度吐き、話し始めた。
「エルマ、健太君、見苦しい所を見せてしまったな、すまなかった。王女は見ての通りだ、落ち着きが無くこの先に不安が残る。もう少し上品に生きてほしいのだが、なかなか私の思い通りにはいかない。困ったものだよ。」
「あなた、ディアネイラにはもう少し優しく接していただかないと・・・」
アキナ王妃がウェルザに注意をする。
「なんだ!またその話か!!大体お前はディアネイラに対して甘やかし過ぎなんだ!そもそもだなあ・・・」
「あなた!何言ってるんですか!私は毎日毎日ディアネイラを、見ています。あなたこそ・・・」
これは・・・王族ウルフの夫婦喧嘩だろうか・・・
かなり居づらい・・・そこをエルマのお助け発言が飛ぶ。
「私、帰りますわよ!?健太、行くわよ!」
「は、はい・・・すんまへん・・・」
健太とエルマは、メインディッシュを半分以上残して部屋を出た、
(に、肉が・・・トホホ・・・)
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