第123話 知られざる真実後編
「うわ!!」
カイトは近距離よりイズミの放ったウォータースピアを避けた。
スピアは壁を貫通し、大きな穴が開く。それを見たカイトは驚いてはいたが、やがて怒りが込み上げてくる。
「あっぶねー!な〜にするんだよ!!」
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、バドームのあなた達は一体何が望みなの!?」
「お前たちには関係ない事だ」
「何故ユニコーンを追っている?」
「それもお前達に関係ない事だ!」
「あのユニコーンもあなた達とは関係ない!」
イズミは再び魔法攻撃でカイトに不意を打つウォータースピアを放った。
今度は更に接近した近距離からの攻撃だった為、カイトは避けきれず、左肩に突き刺さる。
「いってぇ〜〜〜!!何しやがるんだ!!コノヤロー!!」
「また痛い目に会いたくなかったら、ユニコーンを諦め、ザックス所長を解放しなさい!さもなくば、ピカトーレン上層部の・・・」
ゴゴゴ!!
ファイヤボールを詠唱し終えたカイトがイズミに向かってニコッとした表情で言った。
「ユニコーンを乗り物としてこの大地の全てを調査し、そして領土の拡大計画。それには1匹のユニコーンを手放すのはもったいない。
しかしながら君の様子を見ると、どうやらユニコーンを逃したようだね!?」
ニコッとしていたカイトだったが、話すにつれ怒りを露わにした表情に変わっていた。
「許さん!例え妊婦であろうが貴様は・・・死刑だ!!」
シュ!!
カイトのファイアボールがイズミに襲いかかる。
イズミはウォーターバリアで応戦するも、カイトの火力が勝り、ファイアボールを喰らってしまう。
「ふああああああああああ!!」
イズミはこの時悟った。
私は・・・殺される・・・と。
せめて赤ちゃんだけでも・・・しかしどうしようもない、それに折角翠種万能薬の開発にも成功したのに・・・
「妊婦さん安心して、早く死んでもらうから。大体蒼一族はいつも俺たちの邪魔ばかりする。イライラするピクシーだよ!このファイアシャワーでも喰らっちゃえ。それ!!」
火の弾がいくつも降ってくる。
イズミは避ける、避ける、避ける。
しかしファイアシャワーの弾数は多い。
体力が尽きたイズミにファイアシャワーが降り注ぐ
ドドドドドドン!!ドン!!ドン!!
「フゥ、さて、この研究所内には大した物なさそうだし、帰・・・」
その時だった。何やら外で物音が聞こえる。
「イズミさん!!何があったんですか!?」
「あ・・・メルー・・・来ちゃ・・・ダメ・・・」
誰かいる!!この人が・・・この人がイズミさんを・・・
(っちぃ、邪魔が入ったか!今バレたら面倒だ、隠れて脱出しよう。)
パタタタタタタタタタタタ
羽の音・・・いるのはピクシーの様ね・・・
「そこにいるのは誰!?出てこないと攻撃するわよ!!」
(・・・・・・)
なんで隠れたままなのかしら、あたし達ピクシーは光粒子を流しながら生きているから、大体犯人は判るのよ、紅い光粒子ならバドームの使者だわ。もし蒼ならピカトーレンの誰なのかしら・・・
「水属性に宿る我が力よ、力を貸して!!ウォータースプラッシュ!!」
(しめた!!これしきの攻撃魔力ならホコリに塗れて・・・)
ドンドンドンドンドン!!
(今だ!!あばよ!!蒼い妊婦さん。)
ハッ!!避けられた?光粒子は何!?紅?蒼?どっちかしら・・・
【メルーは逃げて行く犯人の光粒子をそこで確認したようなのじゃが・・・】
え??両方??ってことはジョーカーじゃない!!まさか・・・ザックス施設長が?
パタタタタタタタタタ
「待ちなさい!ウォータースプラッシュ!」
ドドドドドン!
ピクシーの羽の音、逃げていく
(なっ!今顔に命中したのに効いてない?)
「ハッ、イズミさん!!イズミさん!!しっかり~~!!」
(メルーが・・・そばにメルーがいるのね・・・せめて翠種万能薬のベースである・・・ユニコーンの角の余りを伝えなくちゃ・・・)
[角は滝にある穴の洞窟にて・・・]
「ルー、逃げ・・・メルー・・・つ・・たき・・・あな・・う・・・て・・・」
「イズミさん・・・う・・ううう・・・・」
(ごめんね、私の赤ちゃん。産んであげる事も出来ずにごめんね、ごめんね、ごめん・・・ね・・・)
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