第119話 其々が集う場所には

「スヤスヤスヤスヤ」


 健太の肩に縋り、いつの間にか眠っているメルーの存在をお互い忘れ、健太とメルーは子供達を歩いて追いかけながらも真剣な話をしていた。


「健太、俺達はかなり危険な奴を相手にするかもしれない。」


 ハイムは腕を組み、眉間にシワを寄せた。何やら難しい顔をしている。


「ん?なんだそれ。ハイム、詳しく聞かせろ」


「ピクシーは紅と蒼とジョーカーとピクシーの森で約30年過ごすのはもう知っていると思うが、俺が20歳の時に、珍しいピクシーがいたんだ。」


「珍しいピクシー?」



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10年前 ピクシーの森



「なあハイム、お前羽が生える線がもう出来始めているじゃん!」


「まあな、もしかしたら25歳で大人の仲間入りしちゃうかもだ!」


「まぁ、ハイムは何もかもすごいからなー。」


「いやいや、やめてくれよ、全てまぐれだよ!」


「そういえばアイツ、まだらしいよ?」


「アイツ?」


「ハイム知らない?新種ピクシー。」


「新種?ジョーカーじゃないよね?」


「違う違う、みどりのピクシーだよ。」


「翠?ってことは、光粒子も?」


「そう、翠なんだけど、もう35年羽が生えてないらしい。」


「それって、新種って言うよりも・・・」


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「その翠のピクシーはずっと1人だった。そう、翠が理由でいじめられていたんだ・・・」


「翠?そんなピクシーがいるのか・・・って事は風属性なの?」


「いや、魔力は無いと思う・・・アイツはおそらく生まれ付きの翠ピクシー、身体が弱く何をしてもダメで、いじめの対象になったんだ。」


「ハイム・・・どうせお前の事だ、いじめっ子だったんだな?」


ハイムはずっと下向きに話していたがこの質問に対しては、意外な応えが返ってきた。


「いじめられていたとはいえ、本人は逆に俺達をいじめていたと思っていたんじゃないかな?」


???


 健太には意味がわからない。とにかくその翠ピクシーが、ハイムが言っているとんでもない敵と言う事は間違いなさそうだ。

 とはいえ、その翠がもしハイムの邪魔をする様であろうとも、ハイムには泉の源水を飲んでもらわないといけない。健太は「きっと何とかなる」そう考えながら子供達の後ろをついて行く。


 そして・・・


「お?ハイム、見つけたぜ?子供達があの洞窟に入っていく。おそらくピクシーの森に繋がっているさ!」


「ああ、行こう・・・」





「ハァッ ハァッ ハァッ ハァッ!」


「ハァッ ハァッ ハァッ ハァッ!着いた!!着いたよ!リョウ!」


四つん這いで素早く移動する2人、いや、四つん這いの場合は2匹と言っておこう。2匹は目的地へと辿り着いた模様。


「ハァッ ハァッ ディアネイラ、なかなか足が速いね、あっと言う間に到着だ。」


「アハハハ、家のお手伝いさんから良く逃げてたから、逃げ足に磨きがかかったかな、なんちゃって!」


「お手伝いさん?フフフ、面白いなディアネイラは、いたら良いなぁお手伝いさんが!やれやれ、健太に紹介してやりたいくらいだぜ!」


「ん?ケンタ?お手伝いさんがいたら?オイラはねぇ、担当のお手伝いの人が4人・・・」


「いやいや、今度健太を紹介してやるよ!さて、緑の正体はどの辺かな?」


 ついにこの2人がチャント高原バピラ湖に到着した。ディアネイラは目的地を指差す場所はバドームの領地、ピクシーの森を指差していたのだが、リョウは全く嫌な顔せず、さらに移動を開始した。


 そう、この2人もピクシーの森へと・・・

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