第116話 出会い

「ハァッ、ハァッ、ハァッ、あらら?オイラは道に迷ったかしら・・・」


 チャント高原のバピラ湖を目指し、息を切らしている少女・・・ディアネイラである。


「おかしいなー、確かこっちの道に行ったらラマ国って国とパパの国の境目の川があるはずなのに・・・」


 その時、キョロキョロしながら走っていたディアネイラに対し、目の前に人影が現れる。

それはシュールの施設のウルフ、リョウであった。


「ん?ノワーーーー!!」


「え?キャアアァァァ!」


ドーーーン!!


「痛ってててて、なんだなんだ?おい!娘、大丈夫か?」


「痛っうぅ!ごめんごめん、前あんまり見なかった。」


「ったく、気をつけなよ〜!あ〜あ!せっかく捕った魚が散乱しちゃってる。」


リョウは魚を一匹づつ拾い始める。


「あっ!オイラも手伝うよ!」


ディアネイラも魚を拾い始めた。


「ところで、何か探していたのか?キョロキョロしながら走っていたっぽいけど?」


「んと、チャント高原に向かってたんだよ!?なんかね、緑に光る不思議な現象が最近起こるって噂を聞いてねぇ、調べにきたんだよー?」


「チャント高原か、でもさ、チャント高原方向からやって来たみたいだが?」


リョウがそう言うと、ディアネイラは下を向き、赤くなった。


「ごめん、実は道に迷っちゃって・・・」


「・・・アッハハハハハ、顔は正直だな!迷子って書いてあるよ、アッハハハハハ!」


リョウが笑っている姿を見てディアネイラはムッとするのだった。


「たまたま!たまたま迷っただけなの!!」


「アハハ、ごめんごめん、んじゃあ俺がチャント高原に案内してやるよ。」


「いい!1人で行く!」


「そっか・・・あっ!俺もさ、連れて行ってよ、緑の正体を俺も知りたいし、同じウルフ族なんだから足手纏いにはならないさ。」


 ディアネイラは考えた、1人より2人の方が楽しい。王室ではいつも1人。同種異性の出会いと会話は滅多になかった。


「わかった!一緒に緑の正体を探しに行こっ!?あなた名前は?」


「よし!ありがとう!なんか楽しみだ。俺はリョウ。この近くにある施設に住んでいる。君の名前は?」


「オイラはディアネイラ。よろしくね!?」


「ディアネイラか、良い名前だ!よし、行こう!」


そう言うと、リョウは4つ足で走り出した。


ドキ!


「え?良い名・・・」


(そんな事言われた事がなかった、オイラはオイラの名前が憎かった?それを良い名前だなんて・・・)


気づけばディアネイラは顔が熱かった。


「あら?おーい!ディアネイラ、いこうぜ?」


 少し離れた場所まで移動していたリョウが叫んでいる。


「あっ!ごめんごめん!今行くよー」


ダダダッダダダッダダダッダダダッダダダッ!!


こうしてウルフの2人はチャント高原へ向けてて移動する。

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