第14章 予想外の敵

第114話 ディアネイラ

ピカトーレン シュールの施設付近の小川


「ほらほら、サラッと捕って戻ろうぜ?」


 どうやらウルフ族のリョウ、リザードマンのマルス、ノーラの3人で川に来ている。魚を獲っている様だ。


 魚はシュールの施設全員が好物で、ご馳走として考えられている。


「お!やった!大漁だ大漁だ!」


「んだんだ!」


 マルスもノーラも嬉しくて喜んでいる。

この魚寄せの罠は、シュールの仲間達に健太が教えた梁漁、つまり木や竹等で作り、魚を捕らえる漁であった。


 健太がシュールにいた頃は、健太が乱獲して魚が少なくなってしまった。施設長のシュケルは魚の激減に気付き、魚を捕らえる事をやめさせた。


 しかしリョウを中心に、こうやってこっそりと魚を獲るこの3人がいた。


「な、なあリョウ、本当に健太の魚漁法を施設長は解禁させたのか?」


 マルスは禁止されていた魚の漁に対し心配の様子。


「お、おおう、あたぼーよ!今日から獲る事をじじいは許してくれたんだぜ!」


「んだ、じゃあ問題ないね、んだ。」


 もう1人のリザードマン、ノーラも心配していたが、リョウの一言を聞いて安心した様だ。


 そんな漁をしているこの場所に、珍客が訪れる事になる。

珍客とは、ピカトーレン国王、ウェルザの一人娘である、ディアネイラであった。


その彼女がどの様な経緯でこの地に現れたのか、それは・・・

 

 



カチャカチャ、カチャカチャ、ガチャガチャギギギギ!


 ここはピカトーレン、王室の食卓


「まぁ!ディアネイラ様?なんてお行儀の悪い食べ方!」


「だって食べにくいんだもん、この肉。」


「食べにくいからって、もっと上品に召し上がらないと、またウェルザ様に怒られてしまいますよ?」


「大丈夫、パパは朝からグリフォン狩り。エルマも出張らしくていないんだから、バレなきゃいいのよ、バレなきゃ!!」


 このディアネイラというウルフ族の女、実は随分なおてんば娘でウェルザ王もエルマも手を焼いているそうだ。国民の話では、将来王女になるらしいが・・・ディアネイラの貰い手となる王は誰になるのか分からないが、苦労しそうだと、国民の中ではそう噂されている。


「ご馳走様!さて、ちょっと行って来るか!」


「ん?ディアネイラ様?どちらに?」


「北東の山岳地、えっと確かチャント高原だったかな?なんか夜に緑色に光る何かがいるらしくてね、それを調べに行ってくる。行ってきます!!」


「ちょ・・・お待ちくだ・・・」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


 ディアネイラは4つ足を利用し、窓から素早く外に出る。いかにも脱走するかの様に抜け出して、チャント高原を1人で目指した。


「ディアネイラ様!!まったく!お行儀の悪い!!」


メイド達は困った表情で、走り去るディアネイラを見る事しか出来なかった。




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