第113話 いざ出発

 次の日、ハイムとメルーと待ち合わせの中央広場に流回矢1周半目に待ち合わせの予定だったが、健太は寝坊してしまったみたいだ。


 慌てて準備をして中央広場にダッシュで向かう健太。時間的に滑り込みセーフであろう。


 とはいえ昨晩、ハイムがうるおい屋から帰った後、メルーと黒助に無理矢理飲まされたのが原因だ、16歳にして二日酔い気味であった。


 中央広場に到着したが、意外にもメルーが1番初めに到着していた様だ。


「け〜ん〜た!!遅い!!何してたのよ!!」


「すまん・・・寝坊だ!」


「まさかあれだけのお酒で呑まれてしまったんじゃないでしょうねぇ?全く最近の若い子は・・・」


 ムカッと腹の立つ事を言われる健太。オメーは底なしのババアだろうが!っと思う健太。


「へ?何か言った?」


ついつい声に出ていた様だった。


「いやいや・・なな、何も?なあ、メルー。ハイムは?ハイムはまだか?」


「まだ来てない様ね。ハイム様は色々と忙しいんだから仕方ないでしょ〜?健太とは違うのよ!!」


(ムカムカ!違うって何だ!違うって!!メルーとも違うわい!)


「だから健太、さっきから何を独り言言ってるの?」


「へ?い、いや、何でもないよ、ははは・・・」


 この地獄耳には今後気をつける必要があると感じる健太であった。

そんな時、ハイムは直ぐに到着した。


「ごめんごめん!!少し遅れたね、申し訳ない!!」


「あ!ハイム様!おはようございます!!大丈夫ですよ!あたし達もたった今来たばかりで、遅刻するところだったんです!なんか〜トロルの酔っ払いに絡まれて〜、怖かったんですよ〜!?グスン。」


「あら!そうだったの!!それは大変だったねぇ!でももう大丈夫だよ!健太も俺もいるからさ!」


(う、嘘つき!何がグスンだ何が!)


 健太はメルーのぶりっ子演技を見て感じた。それは昔、ドズラに囮になってもらい、か弱い女ピクシーがトロルに絡まれた場合、いかに母性本能をくすぐって誰かに助けてもらおうとしている練習であった。


「そうだ!ハイム様!今日はね、あたし早起きして手作り水筒作っちゃった♪美味しいお水なの。休憩の時一緒に飲みましょ!?」


「へぇ〜、助かるねぇ、ありがとうメルーちゃん!」


 メルーは完全にピクニックと勘違いしている。しかもこの行動も、ドズラに囮になってもらい練習をしていた事を健太は覚えていた。






「バッド王、悪いわね、2日もラマ国に滞在するつもりはなかったんだけど、昨日いただいたお酒がなかなか美味しくてね。」


「いやいや、滞在は構わないのだがお酒?」


「あら、知らなかったの?フク部隊長が準備してくださったのよ?後でお礼言わなくちゃ。さて、」


「ん?エルマ外交官、どちらへ?」


「貴方達の国にある古代語研究所よ?健太君はそこにいるんでしょ?」



第14章 予想外の敵へつづく

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