第93話 タクシー
突然のバドーム帝国による侵入疑惑。その情報はラマ国上層部より素早く国民に伝えられていく。
瞬く間に国全体に伝わった。そう、研究所にも。
仕事が一段落していた様で、皆んなでお茶をしていた研究員。イルグルが上層部よりバドーム侵入疑惑の情報を伝えられた。その情報をイルグルが皆んなに報告。そして一行は・・・
ガタン!
「ニャ!にゃんじゃと!ンニャー!!あっつあっつ熱う〜!」
シエルは驚き、急に立ち上がった為、テーブルに置いていたお茶を溢してしまう。
「ハァッ〜・・んもぅ、猫の爺さん、せっかく熱くて美味しいお茶を入れたのに!」
と、リサはため息を吐きながらテーブルを拭き始める。
それを見たメルーはシエルの服を拭きながらアドバイス。
「いーいリサ、シエル様達猫族は猫舌と言って熱い飲み物が苦手なの、だから次は・・・」
「えー!熱いのダメなの?じゃあ黒ちゃんもダメなの?次からは熱いお茶飲めるように努力しておいてね。」
「く・・黒ちゃん・・・この僕が・・・」
どうやらリサによる暴走が起きていた。ラマに来て少し慣れてきたのだろう。
と、そこへ。
「お邪魔します!リサ!!リサはいるか!!」
健太だ。健太はピカトーレンに行く前に研究所に顔を出していた。
「健太!」「くん」
皆んながハモる様に健太の名前を言う。そして健太は急いでいた事もあり、息を切らしながら話し始める。
「リサ、一緒にピカトーレンに来てくれ!今からピカトーレン上層部外交官のエルマとやらに会いに行かなければならなくなった。」
「ええ?エルマ様と!?」
「ああ、正直俺はエルマって人を知らねえ。お前は知ってるんじゃないか?悪いけど教えてくれ!」
「アタシは両親の仇を討つまではピカトーレンに帰らない!って本当は言いたいんだけど、そうは言ってられない様ね、わかった。」
健太はシエルとイルグルに避難場所に移動する様に指示を出しリサと共にピカトーレンへと急ぐ。
そう、この研究所に来たとはいえ、直ぐに出かけてしまったのだ、健太はメルーには目を合わせる事無く立ち去った。そしてメルーも健太が来た時、名前は読んだが直ぐに目を逸らしてしまった。
トランプを破り捨てた事により、2人の関係が少し亀裂が入ったのかもしれない。
______________________________
【2年前】
「リョ、リョウ!でっけービルだぜ!ビル!」
「びる?なんだそれ?」
「あの建物の事だよ!いや〜ピカトーレンの中心街はなかなかの街じゃねーか!(俺の時代の足元にも及ばないが・・)」
「ちょっと、健太!リョウ!あんまりキョロキョロしないでよ!周りの人に田舎から来た集団と思われるじゃない!」
「な、なんだよリサ!大都会に来ていきなり説教はねえだろ!俺もリョウも別に悪い事してねえだろうが!」
「悪い事してるしてないの問題じゃないのよ!大体ね、あんたがガミガミガミガミ・・・」
______________________________
「なんて事があったでしょ?健太、あの時の大きな建物、あれがピカトーレン上層部の施設があるのよ?」
「・・・あのビルか、ちょっと遠いな・・・」
健太は思いだした。2年前、シエルに連れて行ってもらったピカトーレンの街。その街の中心に大きなレンガの建物があった。
リサはそのレンガの建物がピカトーレン上層部の施設と健太に教えた。
「よっしリサ、悪いんだけどシュールの施設に寄り道するぞ!?」
「え?」
リサは戸惑った。それもその筈、リサはシュールの施設を勝手に抜け出し、健太と共にラマ国に移ったのだから・・・
「時間を無駄にできない、ちょっとタクシーの力を借りに行くぞ!」
「はぁ?たくしい??やめてよね、健太語使うのは。」
(健太語って言うより君達で言う古代語です!)
「・・・とにかく、リョウとラウルに会いに行くぞ〜。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます